【スプリンターズS】サクラゴスペル“気分良く”馬なり5F62秒8

[ 2013年9月27日 06:00 ]

サクラゴスペルは横山典を背に単走で追い切った

 秋のG1第1弾「第47回スプリンターズS」の出走馬が26日、決まった。美浦トレセンでは横山典弘(45)を背にサクラゴスペルが木曜追い。G1でも上位争いできる能力の持ち主だが、今回はもうひと押しを求めた。新たな馬具と厳しい臨戦過程をバックに大一番へと挑む。同レースは27日、枠順が確定する。

【スプリンターズS】

 嵐のような強風にも動揺せず、サクラゴスペルは木曜追いをクリアした。コスモシャンハイ(4歳1000万)とともにポリトラックコースに登場。併走かとも思ったが、横山典は向正面で早々と僚馬を抜き去った。ただ、単走でも気は抜いていない。いつでも鞍上の指示に応えられる態勢をキープしつつ、徐々にスピードに乗った。

 直線でもフットワークはリズミカル。馬なりのまま5F62秒8~1F12秒2を刻んだ。「併せられたらという指示だったが、馬の雰囲気に合わせたら単走に。馬は元気いっぱい。気分良く走った」。横山典は納得の表情を浮かべた。

 春のG1で4、5着。ある程度のメドは立てた。ただ、勝つにはひと押し足りない。尾関師は決断を下した。「何か変わったことをしなければ」。19日の1週前追い切りの前、横山典がブリンカー装着を提案した。主戦の意見に乗った。「状態が良かったから効果はあまり感じなかった」と横山典は言うが、実戦で劇的に効果が出る可能性はある。この日はメンコ(覆面)にとどめたが、本番では19戦目で初のブリンカー装着が決定した。

 G1制覇への種まきは、もう一つある。前走で朱鷺S(2着)を使ったことだ。58キロ、時季は酷暑(8月24日)、新潟への輸送。明らかにきつい一戦だった。「最も無難なのは、ぶっつけで向かうこと」(同師)。しかし、あえて厳しさを経験したことで、本番への臨戦が非常に楽になったことは確かだ。野球で言えば、重いマスコットバットを振ってから、試合用のバットを振ることに似ている。いつものバットがなぜか軽く感じる。直前に強い負荷を掛ければ、本番のハードルは低くなるのだ。

 負荷は掛けたが、夏バテはない。「状態は凄くいい」と横山典。師も「疲労はない」と言い切った。ぱっと見、大学教授のような雰囲気の尾関師が考え抜いたG1攻略法。眼鏡の奥が鋭く光ったように見えた。

続きを表示

この記事のフォト

2013年9月27日のニュース