トウカイテイオー死す 91年ダービー馬、奇跡の93年有馬記念V

[ 2013年8月31日 06:00 ]

93年、1年ぶりの出走で有馬記念を制したトウカイテイオー。その奇跡の激走はファンの脳裏に焼き付いている

 帝王死す。91年に皐月賞、ダービーのクラシック2冠を制するなどG1・4勝を挙げ、95年に顕彰馬に選出されたトウカイテイオー(牡)が30日、けい養先の社台スタリオンステーション(北海道安平町)で死んだ。25歳だった。死因は不明だが、関係者によると近年は高齢により体調がすぐれず、ファン向けの公開放牧も控えられていた。

 平成の競馬ブームを支えた名馬が旅立った。トウカイテイオーは7冠馬で「皇帝」と称されたシンボリルドルフの初年度産駒で、栗東・松元省一厩舎から90年12月に中京でデビュー。安田隆行(現調教師)とのコンビで連勝街道を走り、翌91年、無敗のまま皐月賞、ダービーを制覇(デビューから6連勝)。史上初めて父子で無敗2冠馬という偉業を成し遂げた。前年に引退したオグリキャップと入れ替わるように出現したスターホースの快進撃は当時の競馬ファンを熱狂させた。

 ダービー直後に右後肢の骨折が判明し菊花賞には出走せず父子3冠の夢は絶たれたが、4歳時には2度目の骨折を克服し、岡部幸雄(引退)騎乗でジャパンCを制覇。その後に出走した有馬記念で11着に大敗し、年が明けた93年春に再び骨折(左前)が判明。丸1年の休養を挟んで、再び臨んだ93年有馬記念を田原成貴(引退)で快勝。「奇跡の復活」として、今もなおファンの記憶に残る激走だった。364日ぶりの出走でのグランプリVは、長期休養明けG1制覇の最長期間記録として今も破られていない。

 翌94年に再び骨折し引退を表明。10月に東京競馬場で引退式を行った。その後、社台スタリオンステーションで種牡馬入り。02年シーズンには最大158頭に種付けしたが、その後は目立った活躍馬を出すことはなく種付け頭数も激減。現在はJRAに8頭、地方に約30頭の現役登録を残すのみで、川崎競馬に登録のある2歳馬2頭が最後の世代となる。

 09年11月に東京、11年7月には函館競馬場に来場して元気な姿を見せていたが、近年は体調を崩していた。度重なる骨折を不屈の闘志で乗り越え、輝き続けた帝王。感動の走りはファンの心に深く刻まれ、語り継がれていく。

 ◆トウカイテイオー 父シンボリルドルフ 母トウカイナチュラル(母の父ナイスダンサー)栗東・松元省厩舎所属 馬主・内村正則氏 生産者・北海道新冠町長浜牧場 戦績12戦9勝 総獲得賞金6億2563万3500円。

続きを表示

2013年8月31日のニュース