【函館新馬戦】デルマ軍団の“切り札”コテツ出陣や

[ 2013年8月14日 06:00 ]

17日函館でデビューするデルマコテツ

 小鉄の必殺タマつぶし!今週17日の函館新馬戦(芝1200メートル)にデルマ軍団の“切り札”デルマコテツ(牡=黒岩、父グラスワンダー)が登場する。昨年は「日本の妖怪」シリーズだったが、今年は漫画のキャラクターから命名した同軍団。はるき悦巳さんの人気コミック「じゃりン子チエ」の「小鉄」にあやかった根性馬は、同軍団2歳世代でもトップクラスの仕上がりを誇る。

 極道猫との決闘に明け暮れた小鉄さながら、小兵でも鍛え抜かれた鋼のような体。デルマコテツの稽古を見守った黒岩師が感心したようにつぶやいた。「暑い最中の1カ月半、美浦トレセンで強い調教によくぞ耐え抜いてくれた。見上げたものだ」

 1億円超えのサラブレッドも珍しくない時代にコテツの落札額は680万円(税抜き)。今年5月の千葉サラブレッドセールで浅沼廣幸オーナーが購入した。名牝ダイナアクトレスの曽孫、重賞2勝プライムステージの孫に当たる血統だが、430キロ足らずの馬体がバイヤーの関心を引かなかったのだろう。「じゃりン子チエ」の主人公・竹本チエが切り盛りする大阪のホルモン焼き店に引き取られた小鉄のような境遇。6月に美浦に入厩すると、“鉄は熱いうちに打て”とばかりに黒岩師のしごきが待っていた。

 7月上旬から美浦トレセンで坂路4F52秒台の速い時計を連発。「まだ馬体にシンが入っていない。基礎体力を徹底的に身に付けさせる」(同師)。小鉄のトレードマークが額に広がる三日月の傷なら、コテツの額には鼻筋へ広がる流星。その流星を汗で光らせながら猛暑の特訓を乗り切った。美浦在厩の2歳馬の中で稽古量は一番だろう。「短距離適性があるし、追って味もある。うちの秘蔵っ子ですよ。鍛錬の成果を実戦で示したい」と同師。17日の函館5Rでのデビューに向け、12日に函館入りした。

 なにわの下町人情を描いた「じゃりン子チエ」。猫仲間に「月の輪の雷蔵」と恐れられた小鉄は何食わぬ顔でチエの飼い猫に収まっているが、時々こんな言葉を口にする。「人間と付き合うと苦労するよ」。猛暑の特訓を乗り切ったコテツも同じセリフをつぶやきながら飼い主の期待に応えようとしているのかも。

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2013年8月14日のニュース