【函館2歳S】ファイトバック 過去3年で2勝“領家”のご子息

[ 2013年7月17日 06:00 ]

函館2歳Sで重賞Vに挑む領家厩舎のファイトバック

 今週はJRA今年最初の2歳重賞、函館2歳S。10年(マジカルポケット)、11年(ファインチョイス)と、このレースを連勝した領家政蔵師(69)が、ファイトバックで3勝目を目指す。デビュー戦の勝ち時計(1分11秒7)こそ平凡だが、勝負どころで外に出すロスをはね返してのVは迫力があった。

【函館2歳S】

 ファイトバックは明らかに実戦タイプだ。デビュー戦の前走。4、5番手付近を追走したが直線、勝負どころでスムーズに運べず、外に出すロスが生じた。普通なら、ここで万事休す。しかし、諦めることなく外から差を詰め頭差、差し切ってみせた。

 実戦向きの雰囲気は、函館入厩前、栗東での調整から既に漂わせていた。普段は目立たないが、走らせると深く沈み込むようなフットワークで目を奪う。領家師はこう語った。「上(オールアズワン=10年札幌2歳S)とまるで似ていないし、コロンとした体形でクマみたい。だから、牧場の評価もいまひとつだった。それが馬場に入れると、しなやかなフットワーク。栗東の本馬場(芝)で動かしたら、あまりにいいので函館に連れてきたんだ」

 力ある馬を見極めて北海道へと送り込み、重賞Vを量産するのが領家厩舎の手法だ。函館、札幌2歳Sには過去6頭を出走させ3勝。過去3年で2勝した函館2歳Sは昨年も1番人気馬(アットウィル=5着)を送り込み、毎年、同厩舎が注目の的になる。

 「北海道で強い?たまたま。育成場がちゃんとやってくれて、仕上がった馬を使っているだけ」。言葉は素っ気ないが、素質馬、仕上がった馬を見極める目が卓越しているからこその好成績だ。鹿児島県出身の同師。以前は夏の主戦場を小倉とし、素質馬のデビューは京都が多かったが、近年はもっぱら北海道でデビューさせている。大幅な軌道修正には勇気が必要だったはずだが、最高の結果につながっている。

 師は来年2月末で定年。函館2歳Sは今年が最後となるが、「何とも思っていない」。この素っ気なさが、またいい。勝ち方を知る名伯楽の手によって、ファイトバックが差し切るシーンが、ありありと脳裏に浮かんだ。

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2013年7月17日のニュース