元ボクシングOPBF女子王者・藤本梨恵 オート界に挑戦状

[ 2013年7月2日 06:00 ]

ファイティングポーズを取る藤本梨恵

 オートレース選手養成所第32期生の卒業式が1日、茨城県下妻市の同所(筑波サーキット内)で行われた。9カ月間の訓練を終え、選手資格検定に合格した19人が出席。女子は元プロボクサーで、初代OPBF女子東洋太平洋Sフライ級王者の藤本梨恵(30)を含む5人が門出。お祝いに駆けつけた第一人者の佐藤摩弥(21)とともに、オート界を盛り上げる。

 四角いリングから楕円(だえん)のコースに戦場を替えた藤本が、オート界に挑戦状を叩きつけた!「高橋貢選手のように活躍して人気のあるレーサーになりたい」と“絶対王者”の名前を挙げて決意表明。チャンピオン獲りへ、ファイティングポーズを決めた。

 高校時代からボクシングを始め、JWBC日本フライ級、JWBC日本バンタム級、OPBF女子東洋太平洋Sフライ級の王者まで上り詰めた。世界戦も2度経験。「人生の全てを懸け、出し切れて悔いはなかった」と納得して引退した。だが…、残ったものは空虚感だった。「私は勝負の世界に身を置くことで生きているという実感を得る人種」と転身を決意した。

 養成所での厳しい訓練は、1カ月で10キロの減量や、試合で殴られ鼻骨骨折で顔面がパンパンに腫れた経験を糧に乗り越えた。配属先は伊勢崎オート。自宅は埼玉県上尾市で、最寄りは川口オートだが「絶対王者と呼ばれる高橋貢選手のいる場で、たくさんのことを吸収したい」とハングリー精神むき出しだ。

 デビュー戦は19日。車の名前はスペイン語で「女子ボクサー」を意味する「ボクセアドーラ」と命名した。その言葉を聞く度、メキシコの武者修行時代を思い出すという。「観客の前で1対1で殴り合ったり、チケットを購入してもらって興行もやりました。そうした経験のおかげで、レースでもきっと平常心でいられると思う」。

 グローブの中で握っていた拳をグリップの上に置き換え、時速150キロの戦場でも藤本は、蝶(ちょう)のように舞い、蜂(はち)のように“差す”だろう。戦いのゴングはもうすぐだ。

 ◆藤本 梨恵(ふじもと・りえ)1983年3月11日、埼玉県上尾市生まれの30歳。伊勢崎オート所属。03年プロボクサーデビュー。09年OPBF女子東洋太平洋Sフライ級王座を獲得。通算成績は9勝(4KO)5敗2分け。趣味は登山。1メートル63、50・6キロ。血液型O。

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2013年7月2日のニュース