【密着!池江厩舎】(2)管理馬のケア方法でわかった走る馬の秘密

[ 2013年5月18日 06:00 ]

馬房にたたずむオルフェーヴル

 【ウマドル・桜井聖良の競馬ファンタジー2013】こんにちは、桜井聖良です。短期連載第2回は、前回お伝えしたスケジュールだけではわからない池江厩舎の馬づくりの全貌をお伝えしたいと思います。まさに想像を越える内容でした。ずばり、池江厩舎の馬づくりは国内外の管理技術の融合だったのです。 

 私は留学先のオーストラリアやイギリスの先生から「どうして日本ではマッサージとかをあまりしないの?競馬がすごい栄えているのに不思議」とよく聞かれていました。日本の競馬関係者は馬の脚元、蹄など細かい部分の手入れも丁寧で、ちょっとした違いにも敏感に気づくと言われています。足裏まで蹄油を塗ってあげるのが日本のオーソドックスですが、オーストラリアでは表面にちゃちゃっと塗って「はい!終わり!」が常識でした。その半面、オーストラリアやイギリスでは機械、手もみマッサージ、鍼(はり)やマイクロウェーブ治療など人間と全く一緒またはそれ以上にメンテナンスをしてあげるのが主流なのです。

 池江厩舎の手入れ方法を見ていると「とにかく丁寧で細やか」という印象。マッサージを導入していて、機械も豊富なことに驚きました。背中に乗せるマッサージ機(全身の血流を良くして、ほぐす用)、部分マッサージ機(疲れている部位を重点的にほぐす用)、そしてマイクロウェーブ器などを常備し、馬に合わせて使っていました。しかも、強さが6段階から選べる高品質なものなんですよ。

 秘密はほかにもありました。それは点滴です。追い切りの後は必ず専属の獣医さんが1頭ずつ歩様、馬体をチェック。その後、馬の状態に合わせた点滴を注入。基本的に全頭が対象となります。馬の状態に合わせてするかしないかを決めているのだとか。細やかに行き届いた管理に驚きを隠せません。

 さらに、点滴を打たれる馬も慣れた様子でおとなしかったのが非常に印象的でした。それはなぜか。いつもほぼ同じ時間に同じ場所で同じ人によって点滴を打っているからです。

 馬はいつもと違うことに大きなストレスを感じる生き物。たまに違うことをすると大暴れする馬も多いのです。だけど、同じ環境だと次第に慣れていくので注射だろうとなんだろうとストレスを感じにくくなっていきます。走る長距離馬を作ると言われているイギリスの名門厩舎では毎日体温・心拍数のほかに注射をして血液をチェックし、見えない馬体の異変や調教の限界値を見ています。必ず毎日同じ条件で行われているため馬もおとなしく暴れません。池江厩舎も同じ手法で点滴が打たれていたので、みんなおとなしいというわけです。

 計算されているという点では、飼い葉も同じ。オルフェーヴルやトーセンソレイユ、バーディバーディなど所属馬はそれぞれ違う配合の飼い葉が与えられているのはもちろんのこと、全体的にカロリーは若干高めですが、肩など筋肉の発達やスタミナ向上の助けになりそうな配合ばかり。私は以前、イギリスの馬栄養学の専門家から飼い葉作りも習っていたので、非常に面白い発見になりました。

 しかも最近「特定のものをある配合で飼い葉として与えると競走馬のパフォーマンスが向上したことが認められた」という研究が発表され、留学先のイギリス人講師も勧めていた飼い葉がありました。それを池江厩舎ではしっかりと配合していたのです!イギリス人講師が勧めていた配合バランスとかなり近いものだったので驚きも2倍でしたよ! 

 次回は池江厩舎スタッフの皆さんについて書いていきたいと思います。本当の仲はどうなのか?赤裸々に書いていきたいと思いますので、ぜひ読んでくださいね!

 ここで今回のプレゼントのお知らせ!管理馬フォゲッタブルの調教ゼッケン2種類をそれぞれ1名様にプレゼントします。応募方法は携帯サイト「スポニチ競馬」まで。

 ▼桜井 聖良(さくらい・せいら)タレント。競馬予想で来ない人気馬・来る穴馬を選ぶのが得意で、生放送番組でWIN5と予想したメーンレースを全的中させた経験を持つ。2011年から1年半、馬の勉強をする為オーストラリアに留学し、馬のマッサージが特技となった。尊敬する人物は大川慶次郎さんで、憧れる人物は鈴木淑子さん、原良馬さん。

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