【NHKマイルC】マイネルホウオウV!大知 涙々の平地初G1

[ 2013年5月6日 06:00 ]

NHKマイルCレースを制したマイネルホウオウ(中央)の柴田大は派手なガッツポーズ

 苦労の末につかんだ涙の戴冠――「第18回NHKマイルC」が5日、東京競馬場で行われた。10番人気のマイネルホウオウが大外から差し切って快勝。柴田大知騎手(35)は平地G1初制覇を通算200勝で飾った。また、平地&障害のG1を制した騎手(障害グレード制導入後)は熊沢重文(45)以来、史上2人目の快挙達成となった。所有するサラブレッドクラブ・ラフィアンの岡田紘和社長は今後、ダービー(5月26日、東京)、安田記念(6月2日、東京)を視野に入れる意向を示した。

【レース結果】

 袖で何度拭っても、涙が止めどなくあふれてくる。「負けたくない一心で…。G1を勝つ日が来るなんて夢のようで…」。つぶやくように語ると、あとはもう言葉にならない。マイネルの赤色の勝負服よりもっと赤く目を充血させた柴田大は、人目もはばからずに号泣した。

 6万観衆の興奮がピークに達した直線坂上。人知れず苦労を重ねたジョッキー生活17年の思いをステッキに込めるように追いまくった。鞍上の気迫に応えてマイネルホウオウが馬群の大外から差を詰める。「ホウオウ、ホウオウ!」。調教師席の机を叩きながら連呼する畠山吉師の大声がいつの間にか「頑張れ、大知!」に変わった横一線のゴール前。くつわを並べて激しく競り合ったインパルスヒーローを首差かわした。

 平地G1初のVゴール。普段のレースと同じように真っ先に脱鞍所へ戻ろうとすると、後ろから騎手仲間の声が飛んできた。「大知!G1を勝ったんだぞ。ウイニングランしなきゃ」。ファンの前で照れくさそうに右手を挙げながら引き揚げてくる柴田大に畠山吉師も涙目でお出迎え。「僕もG1初制覇だが、ジョッキーがうまく乗ってくれたことに尽きる。真面目な男にやっと春が来た」

 真面目な苦労人。美浦トレセンでは柴田大の代名詞になっている。デビュー2年目の97年にラジオたんぱ賞(エアガッツ)で重賞制覇を飾ったものの、直後にフリーとなってから騎乗数が激減。落馬負傷による長期入院も重なり、07~08年は0勝。土、日曜の競馬開催日もトレセンに居残り調教をつける日が増えた。騎乗馬を確保するため障害レースにも乗ったが、結果が出ない。「腐ったこともあった」。周囲には調教助手への転身を勧める声。それでも、騎手を続けたくて厩舎を回った。月曜の全休日には北海道の牧場へ足を運び、放牧中の馬、デビュー前の2歳馬に乗った。「金銭的にきつかった。1円でも安い格安航空券を探した」という。そんなときに出合ったのがマイネル&コスモ軍団を率いる岡田ファミリー。11年の中山グランドジャンプ(マイネルネオス)でJ・G1勝ち、12年の弥生賞(コスモオオゾラ)では14年8カ月ぶりの平地重賞勝ち。そして、ついに平地G1のタイトルをつかんだ。

 「僕の力じゃない。全ては成長したホウオウのおかげ。デビュー前から凄い乗り味だった馬が課題の折り合いを覚えてくれた」と手柄を譲った同騎手。平地G1・11回目の騎乗でかなえた夢は区切りの通算200勝目にもなった。「G1勝ちって気持ちいいですね」。駆けつけた家族に囲まれながら、笑いの花が咲く。泣き笑いの騎手人生。苦労人に35歳の春が来た。

 ◆マイネルホウオウ 父スズカフェニックス 母テンザンローズ(母の父フレンチデピュティ)牡3歳 美浦・畠山吉厩舎所属 馬主・サラブレッドクラブラフィアン 生産者・北海道新冠町ヒカル牧場 戦績10戦4勝 総獲得賞金1億5514万4000円。

 ◆柴田 大知(しばた・だいち)1977年(昭52)6月18日生まれ、栃木県出身の35歳。小5の時、双子の弟・未崎(現調教助手)とJRA宇都宮育成牧場で乗馬を開始。96年3月、騎手デビュー。同年3月31日中山競馬のライトオンファイアで初勝利。重賞7勝。1メートル58、49キロ。血液型B。

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