【青葉賞】堀井雅広師、ソニックが力出せるよう送り出す

[ 2013年4月26日 06:00 ]

調教師としてのモットーは出走回数という堀井雅広師

 定食店で卵焼きにしょう油をかける客を見て、堀井雅広師(61)は思わず顔をしかめた。「調味料をかけるなんて、真剣に料理を作った人に対して失礼でしょう」。他人にこまやかな気遣いをする師の生活信条は定食店でのこんな何げないひと言にも表れている。

 追い切りで騎手が指示よりもはるかに速い時計を出したことがあった。スタンドで見守る師の顔はこわばったが、取材陣には「騎手の好きに乗ってもらった」と、とぼけた。「指示を守れなかったことは騎手自身が一番分かっている。新聞に私の不平が載ったら、その騎手はどう思うかな」

 名医は患者がつくり、名教師は生徒がつくる、という。「競馬なら“名調教師は馬がつくる”ってことかな。僕は名調教師じゃないけどね」。馬に教えることよりも教わることのほうがはるかに多い。馬の能力を人間が変えられる…そんな考えは人間のおごりだと思っている。だから、調教師としてのモットーは出走回数。「力を出せる状態にしてレース場へ送り出すのが仕事。勝ち負けは僕の実力じゃなく馬の能力だから」。相手に気遣いをする師は人間ばかりか馬にも敬意を払っているようだ。「青葉賞のアポロソニックは上昇曲線を描いている。でも、これは堀井厩舎の調教がいいからじゃなくて、馬の成長力だからね」と師は笑った。

続きを表示

2013年4月26日のニュース