【立川ダービー】昨年覇者・成田 最強追い込みでタイトル防衛へ

[ 2013年3月19日 06:00 ]

頼もしいガードと鋭い差しが武器の成田

 深谷との対戦に燃えるのが、昨年覇者の成田和也。03年の山田裕仁以来、史上6人目となるダービー連覇へ初戦から弾みをつける構え。

 昨年の覇者・成田が初日11Rから連覇の偉業に乗り出す。162人の出場選手でその資格があるのは、もちろん成田ただ1人。昨年ダービーは“滑走路”と評される熊本競輪場の長い直線を一気に突き抜けた。前を任せた山崎にスピードをもらい、ゴール前は他選手がひしめく狭いインを縫うように走り抜ける圧巻の走りだった。

 成田の持ち味は豊富な練習で培われた確かな脚力と冷静な判断力だ。昨年の勝因も勝負どころでインに切れ込んだことに尽きる。「山崎君の前輪が長塚選手の後輪と接触。厳しいと思い内へ進路を取った。あのまま外に行っていたら優勝はなかった」。福島県立須賀川高校時代はスキー競技と自転車競技を両立していた。S級のトップレーサーは時速70キロでバンクを駆けるが、スキー選手はレースの度に配置が変更されるポール間を100キロ近いスピードで、しかも最短距離をクリアしなければならない。スキー競技で養った一瞬の判断力は他選手にはない大きな武器だ。

 誠実で温厚な人柄。同期88期の山崎、武田ら自力型が次々にタイトルを積み上げていく中、一歩一歩、着実に追い込み選手としての地位を築き上げてきた。その成田が昨年、初めて特別競輪のタイトルを手にした。「ダービー王の名に恥じない選手になる」の宣言通り、昨年は1年にわたって安定した成績を残した。オールスターでは山崎の2着。村上義の復活Vに沸いた暮れのグランプリでもタイヤ差まで詰め寄る2着。追い込みNo・1の座は目前だ。「平記念(決勝2着)は自分の調子も良かったし、ファンの期待にも応えられたと思う。その後は競輪学校で調整し、感じはまあまあ。立川は相性がいいので」と連覇へ自信を見せた。

 最近では02、03年の山田裕仁、94、95年の小橋正義が連覇を達成したが、過去10年で前年覇者が翌年の決勝に駒を進めたのはわずか2人(09年渡辺晴智7着、12年村上義弘9着)。厳しい勝ち上がりをクリアして晴れの舞台に立てるか。真価が問われる6日間が始まる。

 ◆成田 和也 1979年(昭54)2月25日、福島県須賀川市生まれの34歳。中大卒。03年7月にいわき平競輪場でプロデビュー。通算成績は641戦140勝。通算獲得賞金は4億6043万7255円。主な優勝は10年サマーナイトフェスティバル(函館)、11年SSシリーズ風光る(松戸)、12年日本選手権競輪(熊本)。兄・恭一(94期=奈良)。1メートル72、73キロ。血液型O。

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