戸崎 3・2中央デビュー 恩師に磨かれた技術+人間力

[ 2013年2月26日 06:00 ]

川島正師(左)と戸崎は08年フリオーソで帝王賞を制す

 大井から中央へと移籍した戸崎圭太騎手(32)が3月2日、いよいよ「JRA騎手」としてデビューする。ポスト・アンカツとして期待される若武者の素顔に迫る。第1回は主戦として戸崎を育て上げた川島正行師(65=船橋)。

 「周りに可愛がられる騎手になりなさい」。厩舎社会で新人に対して、よく贈られる言葉だ。戸崎は、この金言をよく守ってきた。誰もが認める地方トップ調教師、川島正師にそう聞くと、「おお、その通り。本当にそうだと思う」と、目を細めてうなずいた。

 08年から戸崎を主戦に据え、フリオーソでの11年かしわ記念(G1)など、コンビを組んで重賞37勝。戸崎は中央を含め重賞58勝だから、いかに強力なコンビだったか分かる。きっかけは戸崎からのアプローチだった。南関でリーディングになりたい。だから自分を主戦にしてほしい。強心臓の若者はベテラン調教師に懸命に訴えた。

 もちろん、お願いされたからといって簡単に主戦にするわけがない。師は騎乗技術だけでなく、厩舎を支える多くのスタッフへの心配りこそが、主戦の重要な条件と考えていた。戸崎は周囲の人々の気持ちを懸命にくみ取った。師の一番弟子で、同厩舎の調教も担当する佐藤裕太騎手(37)は「若手と気さくに話し、誰からも好かれる人柄。礼儀も重んじている」と戸崎の人間性を語った。

 「まだまだ判断力を磨く必要があるが、中央でもリーディングを取ってほしい。勝つだけでなく、きれいな騎乗姿勢でファンを魅了してほしい」。戸崎の人間性、技術の双方を磨き上げた川島正師。胸を張って中央へと送り出す。

 ◆川島 正行(かわしま・まさゆき)1947年(昭22)千葉県生まれの65歳。騎手を経て90年調教師転身。地方通算4366戦1204勝(25日終了現在)。うち重賞129勝(交流G1・13勝、東京ダービー5勝)。02年から11年連続収得賞金全国1位。主な管理馬はアジュディミツオー(04、05年東京大賞典)、クラーベセクレタ(11年東京ダービー)など。

 ≪25日の戸崎≫発熱のため、3鞍を予定していた川崎競馬初日の騎乗を取りやめた。地方騎手として川崎で騎乗できるのは、あと3日。26日は4鞍に騎乗する。

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2013年2月26日のニュース