【有馬記念】ゴールドシップ3冠 豪快まくりで“金”イヤー締め!

[ 2012年12月24日 06:00 ]

直線外から強襲したゴールドシップ鞍上の内田はゴール直後に勝利を確信してガッツポーズ

 「金」が力強く締めくくった。中央競馬のグランプリ「第57回有馬記念」が23日、中山競馬場で行われた。1番人気に支持された今年の皐月賞&菊花賞の2冠馬ゴールドシップが、最後方から豪快にまくってG1・3勝目。芦毛馬の有馬記念Vは88、90年Vのオグリキャップ以来となった。10年ヴィクトワールピサ、11年オルフェーヴルに続き、3歳馬が3連覇。内田博幸騎手(42)は有馬4度目で初の頂点。須貝尚介師(46)はG1・4勝目をマークした。

【レース結果】

 黄金の船が動き始めたのは3コーナー手前、ラスト800メートル地点だった。最後方にいたゴールドシップが、内田に誘導されて外に出され、スパートを開始した。距離ロスなどおかまいなし。馬群の外々を回って追い上げた。4コーナーはインから10頭分も外、10番手。勢いは止まらない。

 「シップ!!シップ!!」。大外をグイグイと伸びる愛馬へ、調教師席から須貝師の声が飛んだ。空中を滑るようなすさまじい脚。残り50メートル。先に抜け出したオーシャンブルーを外からかわした。ライバル15頭全てをまくりきって完勝。上がり600メートルは出走馬中最速34秒9。ゴール前で緩める余裕を見せた内田は左手にキスをし、高々と突き上げた。

 ウイニングランを終えた主戦は指揮官とがっちり抱き合い、喜びを語った。「スタートが良くないのはいつものこと。腹をくくった。最終コーナーは多少外を回しても仕方ない。それでへこたれる馬じゃない」。須貝師は「あの位置でいい。内田君が中山向きの乗り方をしてくれた」。共に馬を信じ切っていた。

 こん身の仕上げで臨んだ。菊花賞後、ここ一本に絞って馬をつくり変えた。長距離仕様から、中山の急坂を克服できるパワフルなボディーへ。放牧先でカイバをたっぷりと食わせ、帰厩後は坂路で丹念に追った。食欲を落とすことなく、馬もよく耐えた。トモ(後肢)は膨らみ、腹回りは研ぎ澄まされ、菊から6キロ増。ギュッと中身が詰まった芦毛の馬体をパドックで披露した。指揮官の思惑通りだった。

 初の古馬相手の戦いでも、これだけの強さ。ゴールドシップの順調な航海は、まだまだ続く。来春は天皇賞・春(4月28日、京都)、宝塚記念(6月23日、阪神)の王道路線を歩む。師は「ドバイ、凱旋門賞も考えたが。海外は再来年に挑戦したい」と、将来のプランを明かした。

 いずれ、オルフェーヴル、ジェンティルドンナの2強と戦うことになる。内田は「2頭とのレースが楽しみ」。須貝師は「ここが始まり。来年は古馬として恥ずかしくない競馬をしてほしい」と力を込め、最後にこうささやいた。「みんなのサンタクロースになれて良かった」

 ◆ゴールドシップ 父ステイゴールド 母ポイントフラッグ(母の父メジロマックイーン)牡3歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・小林英一氏 生産者・北海道日高町出口牧場 戦績10戦7勝 総獲得賞金6億3978万9000円。

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