【阪神JF】加速力一級品アユサン 馬なり先着ラスト12秒9

[ 2012年12月6日 06:00 ]

Wコースでの追い切りで、ロックシンガー(左)を相手に、父ディープインパクト譲りの加速力を見せつけたアユサン

 関東ではアルテミスS2着アユサンが軽快な動き。まだ弱さを抱えるが、超A級の潜在能力は大きな魅力だ。

 非凡な素質を感じているからこそ、厳しい言葉が口をつく。アユサンの追い切りを見届けた手塚師は厳しい表情で課題を羅列した。「トモ(後肢)が弱くて完成度はかなり低い。仕上がりは昨年(阪神JF2着)のアイムユアーズのせいぜい半分。レース後の疲れも残りやすく、まだまだだ」

 ならば、どんな追い切りだったのか。これが抜群だったのだ。Wコースで先輩馬ロックシンガー(3歳500万)を子供扱い。主戦・丸山を背に4馬身追走。懸命に手綱を動かす僚馬に外から並び、馬なりのまま半馬身先着した。6F86秒1、1F12秒9。ハミを掛けた途端、一瞬にして標的との差を詰める一級品の加速力だ。デビュー2戦とも最速の上がり(初戦=3F33秒6、2戦目=33秒5)をマークした、父ディープインパクト譲りの切れ味を見せつけた。

 「前走の出来は維持している。トモがしっかりしていないから初戦は出遅れてしまったが、前走はかなり解消されていた」。報道陣の輪の中でしきりに照れながら手応えを語った丸山。師匠の根本師から「記者に囲まれるのは幸せなことだぞ」と諭され、表情一変。「乗り代わりの頻繁な厳しい時代に、G1でも乗せてもらえるのだから結果を出したい。あの末脚を直線で生かしたい」。初のG1タイトルへ胸を躍らせた。

 同馬を所有する星野壽市オーナーと丸山の出身地、群馬県はアユの養殖で知られる。現状のアユサンは、いわば放流前の稚魚。「完成途上でどこまでやれるか。ただし、来春の桜花賞を意識できる素質を持っていることは間違いない」。手塚師はそう締めくくった。

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2012年12月6日のニュース