【マイルCS】グランプリボス 2馬身遅れも「合格」

[ 2012年11月15日 06:00 ]

グランプリボス(左)はグランプリエンゼルにまさかの遅れ

 栗東では前哨戦・スワンSを制したグランプリボスが順調な仕上がり。朝日杯FS、NHKマイルCに続く3度目のG1獲りへ期待を膨らませた。

【マイルCS】

 まさかの遅れ!?坂路でG1・2勝馬グランプリボスが、グランプリエンゼル(6歳オープン)に苦戦を強いられた。3馬身追走。僚馬の後ろで折り合い、残り1Fで馬体を並べた。さあ、抜き去るか。しかし…。最後にグイッと前に出たのはエンゼル。ボスは2馬身遅れ。果たして、これでいいのか?

 報道陣の前に矢作師は笑顔で現れた。「しっかり負荷を掛けたかったので、厩舎で最も調教駆けするエンゼルを追走した。前半は馬の後ろで折り合うのが主眼。遅れてしまったが、相手はうちの厩舎で一番動く馬。悲観も何もない。一応合格?いや、一応ではなくて全然合格」

 なるほど、4F51秒8~1F12秒8と時計は上々。4F全体はエンゼル(52秒3)も速く、追いかけたハンデが最後に出ただけ。力強い脚さばきに抜群の毛ヅヤ。遅れは正解なのだ。究極の目標に向け、仕上げには寸分の狂いもない。「休み明け3戦目が一番力を出せる。そのためのローテーション。力が違っていたから2戦目(スワンS)で勝ってしまっただけ。当然上積みは見込める」。力強い言葉。眼鏡の奥で師の眼光が鋭く輝いた。

 春先に減った馬体も戻り、4歳秋を迎えて本格化。前走・スワンSは前半3F35秒2のスローペースを克服し、外から問答無用にねじ伏せた。「決して差し馬有利の流れではなかった。上がり(3F33秒2)を含め、本当に強い内容。今夏の放牧が成果十分で、ひと回りもふた回りもパワーアップした」

 香港マイル(12月9日、シャティン)の招待状も届き、国内制圧はもはや使命。指揮官は「一番強いと思う。(父の)サクラバクシンオーの後継として、種牡馬としての価値を高めるためにも勝ちたい」。3度目のG1奪取を力強く誓った。

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2012年11月15日のニュース