【エ女王杯】レインボーダリア 首差制しG1初制覇

[ 2012年11月12日 06:00 ]

ヴィルシーナ(左、緑帽)との叩き合いを制してG1初制覇を飾ったレインボーダリア(桃帽)

 雨が降り続いた京都競馬場に“虹”が輝いた。「第37回エリザベス女王杯」は、7番人気の関東馬レインボーダリアが単勝1・9倍の圧倒的1番人気ヴィルシーナとの一騎打ちを首差制してG1初制覇。28年目の柴田善臣騎手(46)&5歳牝馬のベテランコンビが大仕事をやってのけた。鞍上にとってG1は10年宝塚記念(ナカヤマフェスタ)以来、通算8勝目。

【レース結果】

 柴田善には勝てる予感があった。頭にあったのは10年の宝塚記念。関西のG1、レインボーダリアと同じ二ノ宮厩舎の馬(ナカヤマフェスタ=8番人気)とのコンビ、圧倒的1番人気馬(ブエナビスタ)が相手。「あの時も外から2番目のゲート(8枠17番)だった。いいイメージを持ち、プラス思考で臨んだ」。28年目のベテランは自らに暗示を掛け、7番人気の伏兵をVに導いた。

 降り続く雨、馬場は重。道中は11番手を追走。3角過ぎで流れが一気に速くなったが、無理に追いかけなかった。自分のペースを保ったまま、直線は外へ。前にいたヴィルシーナに、力強く襲いかかった。残り150メートルは2頭の一騎打ち。必死に食い下がる3歳馬を、外から首差ねじ伏せた。

 「馬のリズムを崩さなければ何とかなると思った。ヴィルシーナとの叩き合いでも、こちらの勢いの方が上。抑え込めると思った」。普段は重賞を勝っても眉ひとつ動かさない柴田善がゴール後、馬上で小さく2度ガッツポーズ。さらに、横山典ともハイタッチで喜びを分かち合った。珍しく、喜びがあふれ出た。

 コンビ結成は前走(府中牝馬S4着)から。10年の新潟大賞典を田中オーナー所有馬ゴールデンダリアでV。馬主サイドが、その縁を大事にした。「折り合いが付き、自由に動かせた前走は負けても収穫だった。後ろから行って脚も計れた。ためれば切れる感触をつかみ、自信を持って臨めた」。レースを1度経験すれば全て分かる。柴田善の頭には戦前から明確なVイメージがあった。

 二ノ宮師も10年宝塚記念以来のG1制覇。指揮官は好騎乗を称賛した。「うちの厩舎のいろいろな馬に乗ってもらっているが、馬の感情、気持ちをくんでくれる。熟練の域に達している」

 重賞未勝利ながらG1は4度目の挑戦。格上の相手と戦い続け、地力を養った。「実が入って、後肢の力が強くなっているとパドックで思った。踏み込みが良くなり、力が前肢にも伝わっている。目立つ馬ではないが、こつこつと段階を踏んで力を付けた」。しみじみと成長を振り返った。今後については「まさか勝てると思っていなかったし、次は考えていなかった。オーナーと相談して決めたい」とした。

 「今後もG1馬として恥じないレースをしてくれるだろう」と締めくくった柴田善。5歳秋に大きな虹を懸けたダリアへの信頼は、最後まで揺らぐことがなかった。

 ◆レインボーダリア 父ブライアンズタイム 母アローム(母の父ノーザンテースト)牝5歳 美浦・二ノ宮厩舎所属 馬主・田中由子氏 生産者・北海道新冠町大栄牧場 戦績28戦6勝 総獲得賞金2億3207万3000円。

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