【AR共和国杯】ルルーシュ 横綱相撲で重賞初V

[ 2012年11月5日 06:00 ]

早めに抜け出したルルーシュが重賞初制覇

 古馬のハンデ重賞「第50回アルゼンチン共和国杯」が4日、東京競馬場で行われた。2番人気のルルーシュが後続を1馬身半抑えて重賞初制覇を飾った。4角先頭の横綱相撲で勝ち時計の2分29秒9はレースレコード。G1獲りへ大きく前進した。

【レース結果】

 デビュー戦から長い道のりを歩き続けた末の重賞初タイトル。ルルーシュとともに脱鞍所に引き揚げてきた横山典は「やった!!」と一言、馬上からバンザイしながら飛び降りる。「G1でもないのにデットーリジャンプなんて、ノリさん(横山典)、よっぽどうれしかったんだ」。若手騎手たちが検量室でささやく中、出迎えた藤沢和師とがっちり握手。「もともと期待の大きかった馬だし、最近の中では一番の状態。リズム良くリラックスして走らせることができた」と満足そうな顔を浮かべた。

 完全復調を告げる勝ちっぷりだ。526メートルの直線を待たず、4コーナーで早くも逃げるミッキーペトラをかわした。「直線が長いのにあんな所で先頭に立って大丈夫か…」。見守る藤沢和師さえ驚かせた究極の横綱相撲。だが、坂上でも脚色は衰えない。東京で早めに先頭に立つことの危うさを知り尽くした名手が放った4角先頭の積極策。馬上の揺るぎない感触と信頼感が大胆にさせた。「体調がもうひとつアップしてくれれば、もうひとつ大きなところを狙える。一番いい時を知っているから」。長い直線をしのぎきった手綱から伝わってきたのはG1タイトルの予感だった。

 栴檀(せんだん)は双葉より芳しという。「父親(ゼンノロブロイ)によく似た凄い2歳が入厩してきた」。フランス映画の巨匠、クロード・ルルーシュにあやかった馬名を持つ黒鹿毛の才能に藤沢和師が舌を巻いたのは一昨年の夏。だが、体質が弱く、翌年1月に2勝目を挙げた直後に歩様が乱れた。1年2カ月の休養。復帰後も調教を加減してきた。才能のつぼみがふくらむまで待つのが藤沢和流。「ようやく強い調教をしても、腰に疲れが残らなくなった」。レース後、同師が頼もしげに向ける視線の先には体重が16キロ絞れ、つぼみの開花を告げる完熟の体つき。「もうひとつ良くなる。次はJCか有馬記念か…近日中に決めたい」。デビューから2年2カ月の長い道のりを歩いた末の重賞初V。その圧勝ゴールの先には競馬の頂点が待っている。

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