【凱旋門賞】オルフェ 国内最終追いで躍動!

[ 2012年8月24日 06:00 ]

<凱旋門賞>坂路で追い切るオルフェーヴル

 決戦は近い。凱旋門賞(10月7日、フランス・ロンシャン)に挑戦するG1・5勝馬オルフェーヴル(牡4=池江)が23日、栗東坂路で国内最終追いを行った。ラスト1Fが予定より1秒ほど遅くなり、池江泰寿師(43)の表情はさえなかったが、最強馬は既に自分から体をつくって戦闘モードに入っている。25日午前成田発の便で出国。日本競馬の夢を堂々とつかみにいく。

 まだ暗闇に包まれた午前3時半。オルフェーヴルが坂路のスタート地点に姿を現した。検疫中は他馬との接触を避けるため、調教時間が早い。いつも押し合いへし合いの坂路が、うそのように静まりかえり、カクテル光線が照らすのは最強馬ただ1頭。普段と全く違う状況がいや応なしに緊張を呼ぶ。この道が凱旋門賞へと続くことを意識させられる。

 単走でスタート。最初の1Fを14秒9で入ったが、13秒2、13秒1と一気にペースを上げた。四肢に力がこもる。栗毛の馬体がしなやかに伸びた。終始、手綱を抑えたまま馬なりでフィニッシュ。ラストは13秒4とペースダウンしたが、前向きさをキープし続けた。4F54秒6、3F39秒7。躍動感十分に映った。

 だが、池江師は渋い顔だ。悔いなき調整を目指した指揮官の思いとは微妙な差があった。「動き自体は悪くないが、指示はラスト1Fを12秒5程度で強めに、だった。予定よりかなり遅くなった」

 栗東坂路で時計を出すのはこれが最後。前哨戦・フォワ賞(9月16日、ロンシャン)まで、もう1カ月を切った。師は「(現地の)天候や馬場の状態もある。だからこちらである程度仕上げたかった。歯車が狂った」。誤算が生じたことを正直に明かし「この分を取り返す調教ができればいいが」と語った。幸い、現地の前線基地・シャンティイは芝、砂、ファイバーサンドと多種多様なコースを備える。ここが若き指揮官、腕の見せどころだ。

 馬は既に戦う態勢にある。帰厩(17日)当初、480キロあった馬体は「数日で14、15キロ落ち、戦闘モード」(同師)に入った。1週前と当週の追い切りに騎乗するようスミヨンにオファーも出した。決戦は近い。師は強い口調で締めくくった。「行かなければ勝つチャンスはない。あらゆることに全力を尽くすだけ」。目の前の課題を着実にクリアした先に、世界最高峰の頂が待っている。

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2012年8月24日のニュース