【宝塚記念】オルフェ復活5冠!池江師「疑ってごめん」

[ 2012年6月25日 06:00 ]

<宝塚記念>圧勝で復活を果たしたオルフェーヴルとガッツポーズの池添

 最強馬がよみがえった。春のグランプリ「第53回宝塚記念」が24日、阪神競馬場で行われ、1番人気に支持された昨年のクラシック3冠馬オルフェーヴルが直線で鋭く抜け出し、G1・5勝目を飾った。阪神大賞典2着、天皇賞・春11着と連敗し、完調手前の状態ながら、ファン投票1位に応え、完全復活を告げる走りに池江泰寿調教師(43)は最敬礼。池添謙一騎手(32)は涙を流して相棒を抱きしめた。秋は凱旋門賞(10月7日、フランス・ロンシャン)挑戦が有力。次は世界にその圧倒的な潜在能力を見せつける。

 地の底から湧き上がるような大歓声が起こった。中団の馬群で包まれていたはずのオルフェーヴルが、直線を向いて、いきなりインの3分どころから抜け出した。「どこから来た!?」。ファンが声を上げようとした瞬間、もう前を行くマウントシャスタを捉えていた。残り150メートルで堂々と先頭。外から迫ろうとするルーラーシップを右ムチ数発、加速したかのような伸びで突き放した。2馬身差、完勝。悩める最強馬の姿はどこにもなかった。

 想像をはるかに超える強さだった。池江師ですら、こう語った。「やはり怪物だ。これはもう絶対能力と根性。疑ってごめんなさい。そして、おめでとう」

 道のりは険しかった。半信半疑、出走すら正式に決定しないまま決戦の週を迎えた。「トモ(後肢)の肉が物足りない。踏み込みにも、いつもの強さがない。正直7割。時間が欲しい」。指揮官は肉体面に不安を覚えた。

 ただ、光明はあった。追い切りではゴール後に勢い余って右にもたれるなど、気持ちの面で張りが出てきた。「金曜(22日)の夕方に馬房をのぞいたら、威嚇してきた」(同師)。3歳時に何度も見せた野獣のような振る舞い。走りの原動力となる野性味が戻っていた。

 レースでも気持ちの強さを見せた。道中は中団でびっしりとモマれ込んだが、ひるまない。むしろ闘志をため込むように、絶好の手応えで鞍上の指示を待った。4コーナー手前で池添がゴーサイン。外を回さず、他馬の壁を突き破れ。最強馬は鞍上のゲキに応え迷うことなくライバルの間を割った。

 「ファン投票1位がありがたかったし、決して無視できないと思った。完璧ではなかったが、よくここまで馬が戻ってくれた」。競馬史上に残る英断を下した池江師だが、その功績は馬と出走を後押しした7万2253票を投じたファンに譲った。

 さあ、凱旋門賞へと夢が広がる。師は「今後はノーザンファームしがらき(滋賀県甲賀市)へ放牧。ゆっくり状態を確認して、オーナーサイドと相談したい」と語るにとどめたが、「昨年の出来に戻れば世界最強を狙える」と自信の言葉も口にした。誰もが驚いた復活劇から、最強ストーリーの第2章が始まる。

 ▽オルフェーヴル 父ステイゴールド 母オリエンタルアート(母の父メジロマックイーン)牡4歳 栗東・池江厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道白老町社台コーポレーション白老ファーム 戦績14戦8勝 獲得賞金9億7868万2000円。

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