【ヴィクトリアM】アパパネ、やっと「やる気出た」

[ 2012年5月8日 06:00 ]

<ヴィクトリアM>馬房で愛馬アパパネを見つめる国枝調教師

 東京競馬5週連続G1の第2弾は、春の最強牝馬を決定する「第7回ヴィクトリアマイル」。牝馬G1・5冠、昨年の覇者アパパネが、得意の大舞台で1年ぶりの美酒を狙う。今年初戦の阪神牝馬Sは7着に敗れたが、休み明けは走らないタイプ。ひと叩きされて気配は良化している。陣営は中間の調整に一工夫、女王復活に執念を燃やす。「データBOX」では昨年の牝馬3冠で惜敗続きだったホエールキャプチャがV候補に挙がった。

 5冠牝馬は輝きを取り戻せるのか。史上初のヴィクトリアM連覇に挑むアパパネだが、実は最後に勝ったのが昨年のこのレース。鮮烈な走りでファンを魅了してきた女王は丸1年、白星から見放されている。

 昨年暮れに挑戦した香港マイル13着で惨敗。帰国直後にはオーナーサイドと引退についての話し合いも行われた。現役続行が決まり再び挑むG1舞台。2歳のデビュー時から全力で走り続け、5歳を迎えて燃え尽きてしまったのか。国枝師は「もちろん年齢を重ねたのは事実。ただ、本当に衰えたのかどうか…。正直、よく分からない」と話す。

 今年初戦の阪神牝馬Sは7着に敗れたが、勝ち馬との差は0秒4で約2馬身の範囲内。初の1400メートル、海外帰り、デビュー以来最高体重(504キロ)での出走。楽ではない条件が重なったことを考えれば上々の内容と言える。桜花賞前のチューリップ賞(2着)、秋華賞前のローズS(4着)など、ステップレースでの取りこぼしはこの馬のキャラクターでもある。

 実戦を叩いたことで気配も上向いてきた。1週前追いは主戦・蛯名を背に北Cダートコースで併せ馬。直線でびっしりと気合を注入され2馬身先着した。普段は使わない北馬場での調教。実戦と同じ左回りで追い切るのが目的だったが、「変化をつけて馬に刺激を与える」(同師)のも理由の1つだ。「やっと馬にやる気が出てきた。反応も戻っている」と、トレーナーの評価は合格点だ。

 手綱を取った蛯名は「このクラスの馬だから動きは見ての通り」とした上で「体がまだウ~ンという感じ。アスリートの体になってこないと。もっと絞れてほしい」と注文をつけた。素晴らしいポテンシャルを誰よりも知っているからこそ出た辛口のエール。「暖かくなってきたから、絞れてくるでしょう」。愛馬への信頼が揺らいだわけではない。

 昨年はブエナビスタとの死闘を首差しのいで戴冠。国枝師は「1年前を思い出して、どこかにブエナがいると思って走ってほしいね」と願う。東京はオークスでサンテミリオンと歴史的同着Vを飾った舞台でもある。強敵ほど燃える闘争心はG1でこそ。思い出が詰まった府中は復活舞台にふさわしい。

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2012年5月8日のニュース