【NHKマイルC】14年ぶりの無敗王者!ブラックヒル

[ 2012年5月7日 06:00 ]

<NHKマイルC>圧勝を映し出すターフビジョンを背に、逃げ切りで制夷したカレンブラックヒル

 3歳マイル王を決める「第17回NHKマイルC」が6日、東京競馬場で行われた。1番人気カレンブラックヒルが逃げ切り、98年エルコンドルパサー以来14年ぶりに無敗で優勝した。手綱を取った16年目秋山真一郎騎手(33)、開業7年目平田修調教師(51)はともにうれしい初G1制覇となった。また、今年早くもG1・2勝を挙げ絶好調だった岩田康誠騎手(38)はマウントシャスタの斜行、走行妨害で失格となりヴィクトリアマイル、オークスに騎乗できなくなった。

 悲願のG1タイトル目がけて、秋山はがむしゃらに追い続けた。カレンブラックヒルがラスト300メートルで後続を一気に突き放しセーフティーリード。それでも鞍上は後ろを振り返らず、ターフビジョンで後続を確認することもしなかった。ただ懸命に追った。レース史上初となる逃げ切りでVゴールに飛び込んだときには、2着アルフレードと3馬身半差もの着差をつけていた。

 「もう必死だった。後ろを見る余裕はなかったし、あれだけ差が開いているとは思わなかった。直線はいつも以上に長く感じたよ」

 迷いはなかった。好スタートを決めると積極的にハナへ。「他の馬のペースに合わせるより、自分でペースをつくってやろうと思っていた」と秋山。直線入り口でレオンビスティー、マイネルロブストに並びかけられたが、パートナーの力を信じ切っていた。「能力のある馬だしついてくるなら来いと。自信はあった。並ばれてからも手応えは良かったし、仕掛けたら反応してくれた」

 デビュー2年目の98年以降、15年連続でG1の舞台に乗り続けて55回目の挑戦だった。「G1を勝ったら泣くだろうと思っていたけど、うれしすぎて泣かれへんわ。すいません、だってうれしいもん」

 1番人気の重圧をはねのけてつかんだG1の勲章。過去に味わった苦い経験が大舞台で生きた。同じ平田厩舎のベッラレイアで挑んだ07年オークス。1番人気の支持を集め、ラスト300メートルで堂々と先頭に立ったが、ゴール前で強襲して来たローブデコルテに鼻差かわされて2着に終わった。

 「今までに味わったことがない緊張だったし、馬に自分の緊張が伝わったのかも。今回は2回目で慣れがあったし気が楽だった。G1コンプレックスがあったが、全て吹っ切れたよ」

 4戦無敗という史上最少のキャリアで3歳マイル王に輝いたブラックヒル。ここまで全てマイル戦に出走してきたが、陣営はダービー挑戦の可能性を示唆した。平田師は「これぐらいの距離なら連勝を積み重ねられると思うが、距離を延ばすことも考えていきたい。今後はオーナーと相談して決めるが、ダービーに登録する」と見通しを語った。鞍上は「スピードを持続できるスタミナがあるし、同じ3歳同士なら距離が延びてもチャンスはありそう」と手応えを明かした。

 どこまで連勝記録を伸ばすのか。今年1月デビューの強力ニューカマーの登場に、クラシック組もうかうかしてはいられない。

 ◆カレンブラックヒル 父ダイワメジャー 母チャールストンハーバー(母の父グラインドストーン) 牡3歳 栗東・平田厩舎所属 馬主・鈴木隆司氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績4戦4勝 総獲得賞金1億6490万4000円。

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