【桜花賞】ジェンティル末脚爆発!まず1冠!

[ 2012年4月9日 06:00 ]

<桜花賞>桜花賞を快勝したジェンティルドンナ(左)の鞍上で歓喜の1冠ポーズをつくる岩田

 ドンナが咲いた!牝馬クラシック第1弾「第72回桜花賞」が8日、阪神競馬場で行われ、2番人気ジェンティルドンナが直線で末脚爆発、1冠を手にした。

 外から力強く伸びてきたのは「黒、赤十字襷(たすき)、袖黄縦縞(じま)」の勝負服を背にした鹿毛のディープインパクト産駒。しかし、それは2歳女王ではない。並み居るライバルを尻目に先頭でゴールに飛び込んだのは2番人気のジェンティルドンナだ。「よっしゃー!!」と雄叫びを上げた岩田は満面の笑みで愛馬を称えた。

 「本当にいいスタートが切れたし、僕の言うことを聞いて走ってくれた。凄く冷静で賢い馬。素直さが一番の持ち味だね」

 どの馬よりも先にゲートを飛び出したが、スッと下げて道中は外の10番手。「ピンナ(アイムユアーズ)と松岡(サウンドオブハート)を見ながらの最高のポジションだった」。この自在運びこそイタリア語で“淑女”の名にふさわしい賢さの証。勝負どころでは、ややズブさを見せる点を考慮し、前走より早い4角手前からスパートした。ジワリジワリと前に接近すると、ラスト1Fはヴィルシーナ、アイムユアーズとの壮絶な叩き合い。岩田のムチに応えてグイッと抜け出し、最後は半馬身差をつけた。レース運びは完璧だった。

 常にクールな石坂師もさすがに頬を緩ませた。「勝つ競馬をして勝てて良かった。デビュー前から桜花賞でいい競馬をしたいと思っていた馬。本当にいい競馬をしてくれた」

 これまでヴァーミリアンを筆頭に数々の名馬で中央、地方を合わせてG113勝を挙げているが、クラシックは初制覇。その陰には指揮官の英断があった。

 シンザン記念を制した直後、牧場や馬主サイドから「フィリーズレビューをステップレースにしてはどうか」と打診があった。既にチューリップ賞出走が決まっていた同馬主ジョワドヴィーヴルや、同厩舎エピセアロームとの使い分けを踏まえてのこと。しかし石坂師は距離が本番と同じマイルで、レース間隔も1週長くなるチューリップ賞にこだわった。

 これが大正解。本番までの間隔を空けたことで、チューリップ賞の疲れがすっかり取れた。「前走と違って、今回はきっちり(本数を)追い切って競馬ができた」(同師)ことが勝利につながった。

 さあ、次は2冠制覇がかかるオークスだ。「自信を持って挑める」と岩田が口にすれば、石坂師も「精神的に大人だから、距離が延びても十分対応できる」と手応えを語る。今度は堂々の主役としてライバルを迎え撃つ。

 ◆ジェンティルドンナ 父ディープインパクト 母ドナブリーニ(母の父ベルトリーニ) 牝3歳 栗東・石坂厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績5戦3勝 総獲得賞金1億6680万2000円。

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2012年4月9日のニュース