【スプリングS】“不気味”ゼロス、あるぞ大駆け!

[ 2012年3月16日 06:00 ]

<スプリングS>馬房を出て、運動に向かうゼロス

 トライアルも佳境を迎えたが、牡馬クラシック戦線は混とん。スプリングS組ではゼロスの逃げ脚が不気味さを増している。中山は例年にも増して先行馬有利、3連勝の勢いを味方に大駆けがありそうだ。

 ゼロスは未勝利脱出まで実に7戦を要した。それが逃げに開眼して3連勝。特に前走の若駒Sではきさらぎ賞を後に制するワールドエースを振り切った。トライアルを前に、領家師は不敵な笑みを浮かべる。

 「相手が強いよ。優秀な馬ばかり。でも(相手関係を)測るのにはいいわな。自分の競馬に徹していくだけ」

 急成長のベースにあるのは丈夫さだ。馬体重はデビュー時よりも30キロ近くもアップ。これにはベテラントレーナーも目を細める。

 「使いながらだからね。普通なら体がペチャンとつぶれてしまうところ。それが走るごとに具合が良くなっている。脚元のトラブルも全然なく、走るフォームが大きくなってきている」

 81年開業、キャリア30年を超える領家師は、これまでに桜花賞(95年ワンダーパヒューム)をはじめ重賞20勝を挙げた。うち14勝が最近10年に集中している。中小牧場を回り、素質馬を発掘するスタイル。長年経験を重ね、円熟の域にある相馬眼はまず「顔を見る」こと。

 「この馬はやさしい顔をしていた。扱いやすいかと思ったら、最初は悪いことばかりして…。今は集中して、おとなしくなった。グレるかと思ったけど、真っすぐ育ってくれた」

 確かな素質は経験を重ねることで花開いた。セールスポイントは精神力だ。領家師の歯切れはいい。

 「あちこちに輸送しているから物おじしない。ゲートは出るし、最後もパタッとは止まらない。ちょっとは馬場も味方してくれるだろう」

 持ち前の先行力は今の中山コースに打ってつけだ。ここでメドを立てれば、追加登録料200万円を払って皐月賞へ向かう。それだけの価値があるチャレンジだ。

 ≪クラシック追加登録料200万円≫クラシック(皐月賞、ダービー、菊花賞、桜花賞、オークス)は出走に向けて3度、登録料を支払う。第1回登録(現3歳馬は昨年10月28日締め切り。1万円)を行わなかった馬がクラシックレースに最終登録を行う場合は、追加登録料200万円が必要となる。92年から導入された制度だが、地方出身のオグリキャップが3冠レースに出走できなかったことなどが理由とみられる。テイエムオペラオーは追加登録料を支払い、99年皐月賞を制した。

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2012年3月16日のニュース