【中山記念】完璧!フェデラV4 母ダンスの良血馬開花

[ 2012年2月27日 06:00 ]

<中山記念>レースを制したフェデラリスト(3番)と騎乗した蛯名正義騎手(左端)、管理する田中剛調教師(左から2人目)

 「第86回中山記念」はG1馬ダンスパートナーを母に持つフェデラリストが逃げ粘るシルポートを鮮やかに差し切り、中山金杯に続く重賞2勝目。オーナーサイドはレース後にドバイワールドCに追加登録することを明らかにした。

 「逃げ切られたか」。調教師席では多くの調教師が声を上げた。直線を向いても逃げるシルポートと後続の差は10馬身以上。だが、フェデラリストの田中剛師と蛯名だけは手応えを感じていた。「(手綱を)離した時にいい感じで出て行ってくれたので間に合うかなと」。そう蛯名が振り返ったように、抜群の反応と伸びで猛然と前に迫る。3馬身、2馬身…。一完歩ごとに差を詰めるとゴール手前できっちり捉えた。

 レース直後、オーナーサイドはドバイワールドC(3月31日、メイダン競馬場)に追加登録することを明言した。これなら世界でも通用する。そう感じるのも納得の強さだった。2着シルポートと3着リアルインパクトとの差は4馬身。逃げ切り濃厚のシナリオを桁違いの末脚で打ち砕いた。

 開業前の10年にドバイ国際競走を視察した師は「将来、こういうところに来られればいいなと思ったが、こんなに早くチャンスが来るとは…」と胸を躍らせる。ドバイワールドCに選出されるかは微妙だが、陣営はシンガポール航空国際Cなども視野に入れている。蛯名も「どこへでも行きますよ」と意欲満々だ。

 母は95年オークス馬のダンスパートナー。中央で勝ち上がれず地方競馬(船橋→園田)へ転籍するなど苦労を重ねたが、期待の良血馬が完全に開花した。中山金杯に続く重賞連勝で中山は4戦全勝と負け知らずだが、蛯名は「トモ(後肢)の感じとかが中山金杯より良くなっていた。きょうの内容を見るとコース適性じゃなくて、素質が開花したかなという感じ」と舞台は問わないとの見立て。愛馬の長所を「流れの中で出し入れが利く。速いなと思ったら下げられるし、遅いなと思ったら動いていける。センスがいい」と評価した。

 ドバイも含め次走は流動的だが、G3、G2を連勝すれば残すはG1の大舞台。蛯名も「きょうの感じなら挑戦者として楽しみを持っていける」と期待を口にする。国内G1で強力関西馬に挑むか、海外で3戦して勝てなかった母の“敵討ち”を狙うか。新星の夢は大きく膨らむばかりだ。

 ▽フェデラリスト 父エンパイアメーカー 母ダンスパートナー(母の父サンデーサイレンス) 牡5歳 美浦・田中剛厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績10戦7勝(うち中央8戦5勝) 総獲得賞金1億4845万7000円。

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