坂井さんに最後の別れ…永井「来世で一緒にレースを」

[ 2012年1月20日 06:00 ]

坂井さんの出棺に立ち会う師匠の永井(手前)と同期生

 15日に船橋オートレース場で練習中の事故のため死去した女子レーサーの坂井宏朱(さかい・ひろみ)さん(享年27)の葬儀・告別式が19日、東京都港区の増上寺光摂殿で営まれ関係者、ファンら約400人が参列し別れを惜しんだ。戒名は「一道院宏髄浄安大姉(いちどういんこうずいじょうあんだいし)」。

 告別式は主役不在の表彰式から始まった。オートレースの社会的認知度向上に貢献した坂井さんに贈られる予定だった特別賞の賞状とレプリカが、JKAの石黒克巳会長から両親に授与された。

 喪主の父・克行(かつゆき)さんは「あまりにも短い夢で不憫(ふびん)で無念としか言えません。しかし宏朱にとっては充実した人生を一気に駆け抜けていったのだと思います。生前に臓器提供の意思表示をしていた宏朱の角膜はきのう(18日)2人に移植されたと聞きました。どこかで生き続けていると思えることが、せめてもの救いです」と気丈にあいさつした。

 また、師匠・永井大介は弔辞で「覚えてますか?初めての実地訓練後、2人で食事をした時“永井さんの弟子になれて幸せです。永井さんからも坂井を弟子にして良かったと思ってもらえるよう頑張ります”と言ってくれましたね。短い間でしたが、あなたの師匠になれて幸せでした。来世で一緒にレースがしたい」と惜別の言葉を述べた。

 棺(ひつぎ)にはSG優勝が夢だった坂井さんを思い、昨年の日本選手権で優勝した永井の勝負服などが納められた。青山周平ら同期により棺が運ばれるとファンからは「一生忘れないぞ」と別れを惜しむ声が響いた。

 ▼青山周平 厳しいこともたくさん言ってきましたが、あなたのおかげでここまで強くなれたと思います。

 ▼佐藤摩弥 もう会えないなんて信じられない。宏朱ちゃんがいなかったら選手になれていなかったでしょう。女性の幸せよりも何よりも、オートレースを選んだことを今でも誇りに思っているはずです。(共に坂井さんと同期)

 ▼JKA石黒克巳会長 坂井選手のご冥福をお祈りするとともに、ご家族をはじめ親族の方々に心からお悔やみ申し上げます。このような事故が再び起きないようあらためて努力して参ります。

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