【有馬記念】4カ月後の福島競馬再開を心待ちに

[ 2011年12月21日 06:00 ]

福島競馬の復活を告げる外壁とイルミネーション

 「3・11」の東日本大震災から9カ月余。競馬に愛着の深い東北のファンは特別な思いで有馬記念を迎える。スタンドが大きな被害を受けてて年内中止となった福島競馬の現状を追った。

 福島競馬場から歩いて5分。勝負服で全国のトップシェアを誇る「河野テーラー」の河野正典社長(39)は特別な思いで有馬記念のファンファーレを待つ。

 1924年創業の老舗。震災は作業途中の休憩時間に襲った。壁は崩れ、長年愛用したミシン1台が壊れた。注文を取り消されたこともあった。河野さんは「美浦や栗東はもちろん、報道などで伝え聞いたニュージーランドの方からも励まされ、岩手競馬から復興レースの特別勝負服の依頼もあった。多くの方に支えられた」としみじみ話す。旅行会社勤務を経て、叔父・政平さんの後を継いだ3代目の正典さんにとって有馬は思い出のレース。「グラスワンダーが2度目に勝った99年の勝負服が私のデビュー作なんです。何度もやり直し…で。勝った瞬間はうれしかった。有馬は特別ですが、自分がつくった勝負服の馬が走るのを間近で見る福島もまた特別」と再開を心待ちにしている。

 福島競馬場は当初約550人の避難者を受け入れ、水の供給も行った。来年4月7日の再開を目指し、スタンドの復旧も進み、放射線の低減を目的とした芝の張り替え、ダートの砂の入れ替えも完了。福島競馬場総務課の野瀬義紀さんは「震災翌週に再開の問い合わせが100件以上もあって。地域の方に支えられているんです。競馬場が福島復興のシンボルになれるように頑張りたい」と力を込めた。6月25日に再開した場外発売の入場者も秋には前年の80%近くまで戻った。23日にSPEEDの今井絵理子も来場し、子供向けのイベントを実施。名物のクリスマスイルネーションも25日夜まで点灯する。今年の有馬記念には多くの人の思いが詰まっている。

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