【阪神JF】サウンド“スノー流”熟練仕上げ

[ 2011年12月8日 06:00 ]

<阪神JF>単走で追い切るサウンドオブハート

 2歳女王を決する「第63回阪神ジュベナイルフィリーズ」の追い切りが7日、美浦、栗東トレセンで行われた。無傷3連勝での頂点を目指すサウンドオブハートはスピードを抑えた馬なり調教で気持ちをコントロール。レースで能力を出し切る態勢を整えた。鞍上の武豊(42)と松山康久師(68)は共にクラシック3冠(ディープインパクト、ミスターシービー)経験者。豊富なキャリアを武器に繊細な牝馬を頂点へと導く。

 手綱は最後まで抑えられたままだった。高山助手を背に朝一番のWコースに飛び出したサウンドオブハート。全力で走りたい気持ちを鞍上が抑え込み、じっくりと我慢。内外から他厩舎の追い切り馬が次々と抜いていく中、つられることなくペースを守った。ラスト200メートルはわずかにスピードを上げ、しっかりと四肢を伸ばして13秒5でフィニッシュ。既に最大限にまで高まった気合を持続しきった。

 「いいフォームで走っていた。軸がしっかりしてバランスが崩れない。乗り手の指示に従順なのもいい」。松山康師は笑顔で語った。5F71秒9は一見遅いが計算通りの時計。「1週前追いで出来上がり、ほとんどやる必要もない状態。馬体、気合乗り、長距離輸送…。それらを総合的に勘案すると、このくらいの調教になる。スノーフェアリー(と同じ)だよ」。指揮官は軽めの調教でエリザベス女王杯を連覇した英国の強豪の名を挙げて解説した。

 精神的に未完成の2歳牝馬。気持ちが切れたらレースで出せる力は半減する。「レースが近いと既に感じ取っている。精神的に追い詰めないことが大事」(同師)。ただ、そんな鋭敏なハートが2戦2勝の強さに直結していることも確かだ。ゴール前は追わず圧勝の新馬戦。中山マイルで大外枠から終始外を回り、問答無用に差し切った芙蓉S。他馬に先んじようとする激しい闘争心が強さの原動力になっている。気合は風船のように膨らみきった。それを割ったり、しぼませたりせず、いかにゲートインまで持っていけるかがテーマ。ダービー2勝調教師の狙いは今のところ理想通りに運んでいる。

 「オープン勝ちの経験は有利だし、パワーアップもしている。G1は牡馬でしか勝っていないので何とか牝馬でもと思ってやってきた。めったにないチャンス。頑張ってみるよ」。美浦トップの実績を誇る松山康師の、15年ぶりG1制覇への新たな挑戦。その目は新人調教師のような鋭い光を放っていた。

続きを表示

2011年12月8日のニュース