【天皇賞・秋】アーネストリー困枠18番「まさか…」

[ 2011年10月28日 06:00 ]

<天皇賞・秋>引き運動をするアーネストリー

 まさに明暗が分かれた。投票所前で有力2陣営が交錯。18番を引いたアーネストリーの佐々木師が、ブエナビスタの松田博師に声を掛けた。

 「先生、枠を替えてよ」

 限りなく本音に近いジョークだった。5番が当たったブエナビスタの松田博師は対照的に満面の笑みを浮かべていた。昨年の2番ほどではないが、ロスなく運べる内枠は文句なし。「これまでも奇数が多い馬。おとなしいし、いいじゃろう。どこでも。よかった、よかった」

 いつも通りの坂路を1本のメニューを消化した後、懸案の太め残りについては「年かなあ…」と思うように絞れない現状に首をひねる。それでも「輸送に期待しているんだ」。戦いの場に踏み込めば本能が目覚めるはず、との読みだ。

 一方、普段は冗舌な佐々木師が大外枠の発表にうなるばかりだ。「ノーコメントだよ。ホントに。まさか、まさか…時計ひとつ違うもんなあ。勝った馬はいるの?」。過去に勝ったのは03年シンボリクリスエスのみ。1番人気でレコード勝ちした、前年の勝ち馬だった。そして「連絡みは?」と再び記者に質問。2000メートルとなってからは2着どころか、3着馬すら1頭もいない。宝塚記念に続くG1制覇を狙う陣営は、何とも過酷な条件を突きつけられた形だ。

 間隙を突く構えのエイシンフラッシュは4番に。「いいね。この枠ならスタートして、ロスなく流れに乗れるんじゃないかな」と田代助手は大歓迎の表情だ。常々「内枠の方が作戦を立てやすい」と言う藤原英師。栄光のダービー制覇は1番だった。再度のイン差し戴冠へ。木曜朝は角馬場調整で光り輝く好馬体を披露。28日、新パートナーのルメールが騎乗して感触を確かめる。

 枠順発表の場はまさに悲喜こもごも。ドラマチックな結末が予感された。

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2011年10月28日のニュース