【天皇賞・春】トゥザグローリー“前哨戦”先着

[ 2011年4月28日 05:58 ]

福永騎手を背にCWコースで(奥から)ロリンザーユーザー、マイネルキッツと併せるトゥザグローリー

 春の最強古馬決定戦「第143回天皇賞・春」の追い切りが27日、美浦、栗東両トレセンで一斉に行われた。栗東では年明けの重賞を連勝中と勢いに乗るトゥザグローリーが、栗東で調整中の関東馬マイネルキッツと豪華な併せ馬。一昨年の覇者に半馬身先着して悲願のG1制覇に弾みをつけた。

 次世代を担う良血4歳と、長距離界に君臨する8歳王者。初対決を控えたトゥザグローリーとマイネルキッツが、追い切りから早くも火花を散らした。

 ロリンザーユーザー(7歳1600万)が先導しキッツ、グローリーが続く隊列。進路を譲った先導馬の内にキッツ、さらに内にグローリーが馬体を併せ、直線は本番さながらの追い比べ。しぶとく食い下がるキッツを、切れ味に勝るグローリーが半馬身差競り落とす形で、まずは先制パンチだ。

 G1直前に厩舎の違うライバル馬が併せ馬を行うのは極めて異例。国枝厩舎の栗東滞在に協力してきた池江師。過去2年もマイネルキッツの調教パートナーを提供してきたが「今年はたまたまトゥザグローリーに併せる適当な相手がいなかった。相手はチャンピオンだし胸を貸してもらえれば」と豪華な併せ馬が実現。「見ていて大したことないかなと思っていても、結構なタイムが出ている。強い馬といい調教ができた。合格点」と満足顔だ。

 2月いっぱいで引退した父・泰郎氏から引き継いだばかりだが、転厩初戦の日経賞は完勝。「厩舎に来て初めて触ったときは、まだ幼いという印象。それでも前走は完ぺきなレースをしてくれた。やはり能力を持っていると感じた」。そう振り返る池江師にとってグローリーは思い入れの深い1頭だ。母トゥザヴィクトリーは、助手として父親に師事していた際に調教に携わった。「ドバイ(01年ワールドC2着)にも連れて行ってもらったし、その息子で天皇賞に向かえるのは幸せに感じる。お母さんにいい報告ができれば」と思いをはせる。

 一気の距離延長については「2500メートルまでしか走ったことがないし、未知の距離なのでやってみないと分からないが、以前に比べて競馬がしやすくなっているし、スタートさえ五分に出れば、いい結果が出ると思う」と愛馬のポテンシャルを信頼する。

 父が鍛え、息子が仕上げて臨むG1舞台。人馬ともに競馬の新たな時代を切り開く戦いとなる。

 ≪5組目の母子G1制覇へ≫トゥザグローリーの母トゥザヴィクトリーは01年エリザベス女王杯優勝馬。グローリーが勝てば、グレード制を導入した84年以降、ベガ=アドマイヤベガ、アドマイヤドン、アグネスフローラ=アグネスフライト、アグネスタキオン、エアグルーヴ=アドマイヤグルーヴ、ビワハイジ=ブエナビスタに次ぐ5組目の母子G1制覇となる。

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2011年4月28日のニュース