【ヴィクトリアM】(1)ブエナビスタ

[ 2010年5月17日 06:00 ]

<ヴィクトリアマイル>ゴール直前、ヒカルアマランサスをとらえるブエナビスタ

 やっぱり強かった。東京競馬場で行われた春の最強牝馬決定戦「第5回ヴィクトリアマイル」は、1番人気のブエナビスタが豪快な追い込みV。ドバイからの帰国初戦というハンデをはねのけ、4度目のG1制覇となった。2着に8番人気ヒカルアマランサス、3着11番人気ニシノブルームーンで3連単は8万馬券。2強対決で注目されたレッドディザイアは4着に敗れた。

 「底力が違った」
 引き揚げてきた横山典の言葉に、すべてが集約されていた。ライバルの追随を許さない豪快な決め手を発揮し、単勝1・5倍の断然支持に応えたブエナビスタ。だが、それは薄氷を踏む思いの勝利だった。
 「返し馬で歩様が硬く感じた。出脚がつかず、あのポジションまでしか行けなかった。馬も“この辺だよ”という感じだったし、リズムを崩さないことを考えた。前にレッドディザイアが見えたし腹をくくった」
 鞍上がそう振り返ったように、向正面は後方から5番手の位置取り。先に動いたディザイアを目標に、4角から追い出したが、なかなかエンジンに火が付かない。「いつもの反応ではなかった。骨が折れた」。大外に持ち出した直線は苦しがるように、さらに外へ、外へとヨレていく。それでも、必死の手綱と左ステッキで励まし続け、先に抜け出していたヒカルアマランサスを首差でねじ伏せた。「状態はあまり良くなかったと思うが最後は底力。凄い馬。ホッとした」。ポテンシャルをあらためて体感した。
 松田博師も「ヒヤッとしましたが勝てて良かった」と安どの表情を浮かべた。ドバイ・シーマC2着激走から帰国し、検疫を経て栗東に戻ったのが先月の29日。わずか2週間という調整期間を「今までとは違った。いろいろと苦労した」と振り返ったが、そこは数々のビッグタイトルをものにしてきた名トレーナー。万全とは言えない中で、最良の調整を施した。「不安もあったが、よく伸びた。引き揚げてきたらいつもと変わらない様子だった」。何事もなかったかのように戻ってきた愛馬に最敬礼だ。
 完調手前でも女王の座を守り抜いたブエナビスタ。次は春の総決算である宝塚記念(6月27日、阪神)で、再び強豪牡馬に挑む。横山典は「普通の状態で出てくれば、必ずいいレースをする馬。僕も最後まで乗せてもらえるように頑張りたい」と締めくくった。今度は十分に時間がある。ここまで獲得した4つのG1タイトルはすべて牝馬同士。グランプリで名実ともに国内最強古馬の称号を狙う。
 ◆ブエナビスタ 父スペシャルウィーク 母ビワハイジ(母の父カーリアン)牝4歳 栗東・松田博資厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績13戦7勝 総獲得賞金7億5035万9700円。

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2010年5月17日のニュース