日本新記録“達成”カンムリホルダー166連敗

[ 2010年2月26日 06:00 ]

園田競馬2Rで11着に敗れ、166連敗を記録したカンムリホルダー(右)

 負け組のニューヒロイン誕生!?兵庫県尼崎市の園田競馬場で25日、166連敗の日本新記録が生まれた。不名誉なレコードをつくったのは9歳牝馬のカンムリホルダー。第2Rで11着に敗れ、中央、地方競馬を通じた最多連敗記録を約1年8カ月ぶりに塗り替えた。負け続けることでスーパーアイドルとなったハルウララの再現なるか。

 新記録はスタンドに閑古鳥が鳴く午前中のレースで人知れず達成された。「勝利を目指す競馬の世界で連敗の記録など過剰宣伝すべきでない」とする園田競馬場の良識で事前告知を控えたため、カンムリホルダーの単勝馬券を記念に買うファンも現れず、12頭立て8番人気。ゲートが開くと、いつも通り後方からの競馬で、道中は12番手を追走。懸命に追い上げようとするが、直線で1頭かわすのが精いっぱいだった。この瞬間、不名誉な“連敗女王”となった。
 03年9月の名古屋競馬場デビューから6年半、黒星の山を築き続けて、ついに166回。これまでの地方競馬の最多連敗記録はエリザベスクィーン(引退)が08年7月にマークした165敗(JRAは94連敗)で、カンムリホルダーは今月11日に並んでいた。
 関係者にとってはもちろん、不名誉な記録。管理する黒田隆男調教師(54)も苦笑いするしかない。「(記録更新は)あとから聞いて知った。5、6年は走っているなあと思っていたが、まさか記録がかかっていたとは…でもやっぱり連敗記録は複雑です」
 高知競馬のアイドルホースだったハルウララは、98年デビューから113戦全敗。負けても負けてもひた向きに走り続ける姿が共感を呼び、03年半ばから人気が急上昇。武豊騎乗が実現した04年3月22日には、1日の馬券売り上げが高知競馬過去最高の約8億7000万円を記録。便乗商法まで登場し、単勝馬券が全国で120万枚売れるブームを巻き起こした。
 日本一の冠ホルダーとなったこちらは二番せんじ?主催者も“広告塔”にするつもりはないが、「栗毛できれいな馬ですよ。顔には流星があってべっぴんさんだよ」と黒田調教師は愛馬にぞっこん。「丈夫な馬で、ここまでケガなくきた。今後もコンスタントに使っていきます。2、3週間後に出走させる予定で、すぐに引退は考えてません。とにかく1勝させてあげたい」。果たして記録はどこまで続くのか。陣営の願いは連敗女王の汚名を1日も早く返上することだ。

 ◆カンムリホルダー 父ロングニュートリノ 母グロウゲンザン(母の父リヴリア)牝9歳 兵庫・黒田隆男厩舎所属 馬主・内貴貞次氏 生産者・北海道新冠郡新冠町小松隆弘氏 戦績166戦0勝2着6回3着11回 総獲得賞金151万3000円。01年5月1日生まれ、03年9月名古屋競馬でデビュー、04年4月兵庫に移籍。

 ◆話題になった地方馬
 ▼スーパーオトメ デビュー前の96年1月に大井競馬場の厩舎から逃げ出して首都高速に迷い込み3・5キロを疾走。奇跡的に事故に遭わず、自ら一般道に降りたところで捕まった。9日後のデビュー戦は1番人気となったが5着
 ▼ユキチャン 中央競馬所属だった08年6月、関東オークスで白毛馬として史上初の重賞制覇。09年9月に川崎競馬に移籍、初戦3着後は同12月のクイーン賞(船橋)、今年1月の「TCK女王盃」(大井)と重賞2連勝し、スターホースとして復活
 ▼ハクホウリリー 多額の負債を抱え、存続の危機にあるホッカイドウ競馬2頭目の白毛馬。今年1月に馬名を公募し、1537通の応募の中から決定。関係者は「注目されることで、馬券の売り上げ増につながることを期待しています」

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2010年2月26日のニュース