【JC】ウオッカ血染めの7冠!これがラストか

[ 2009年11月30日 06:00 ]

<東京10Rジャパンカップ>1着のウオッカ(内)と2着のオウケンブルースリ

 ウオッカ、血染めの涙の初戴冠!!国内最高優勝賞金2億5000万円を懸けた「第29回ジャパンC」が東京競馬場で行われ、ルメール騎手(30)と初コンビを組んだ1番人気ウオッカが、最後方から強襲した2番人気オウケンブルースリと2センチ差の死闘を制し、牝馬としては史上初のG1・7勝目の快挙。JCの日本牝馬の勝利も初めて。レース後、ウオッカは鼻出血をしていることが判明し、1カ月の出走停止。有馬記念(12月27日、中山)は出走できず、これがラストランとなる可能性が大きくなった。

 ウオッカのレースはいつも劇的だ。前半1000メートル59秒0の引き締まったペース。直線はほとんどの馬がスタミナが尽きるまで戦う激しい攻防になった。
 「4コーナーで彼女は早く加速したいと望んでいたけど、そこでうまくエネルギーをためることができた。残り300メートルでいよいよ勝負を懸けたんだ」
 ルメールは好位のポジションをキープしながら、しっかり折り合いをつけた。早め抜け出したウオッカに、外からオウケンブルースリが襲いかかる。ルメールが馬体を併せるため進路を外に取り、2頭が並んだままフィニッシュ。「最後の100メートルは、本当によく踏ん張っていた。正直、ゴールしてすぐは負けたと思った。信じられないぐらい素晴らしい馬だよ」
 角居師は「いつもながらドキドキさせてくれますね」と確定後に振り返ったが、レース直後は生きた心地がしなかっただろう。昨年のダイワスカーレットとの名勝負、天皇賞・秋に続いて差はまたも2センチだった。
 だが、劇的な勝利には大きな代償もあった。レース終了から1時間後に、ウオッカの端正な顔が血で染まった。鼻出血(運動性肺出血)だ。中田助手は「レース後に引き運動をした後、検体所で係の人に言われた。左からだけで症状は軽く休めば問題ないもの。あれだけ激しい競馬をしたし、今年いっぱいはご褒美の休養ですね」。
 鼻出血には1カ月の出走停止が伴うため、有馬記念を含めた年内の出走は不可能。年が明ければ6歳、しかも引退後も大事な仕事がある牝馬だけに常識的に考えれば、これがラストランとなる可能性は大きい。谷水雄三オーナーは「全力を尽くして走った直後のこと。今後に関しては調教師と相談して決めたい」と去就について一切明言はしなかった。
 史上初の牝馬によるG1・7勝という金字塔を打ち立てたウオッカ。今年G1・3勝目を挙げたことで2年連続の年度代表馬もほぼ確定的だ。現役続行か、あるいはこれが最後の雄姿になるのか。近日中にも結論が出る。

 ◆ウオッカ 父タニノギムレット 母タニノシスター(母の父ルション)牝5歳 栗東・角居厩舎所属 馬主・谷水雄三氏 生産者・北海道新ひだか町カントリー牧場 戦績25戦10勝 総獲得賞金13億3356万5800円。

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2009年11月30日のニュース