一宮悪夢の初日…内田慶選手が落車し、死亡

[ 2008年9月12日 06:00 ]

オールスター競輪第1日7Rで落車して重傷を負い、救急車に運ばれた内田慶選手

 競輪S級1班の内田慶(うちだ・けい)選手(27=栃木・87期)が11日、レース中の落車事故により死亡した。内田選手は愛知県一宮競輪場で開幕した「第51回オールスター競輪」初日7Rに出走。最終周第3コーナー付近で落車、一宮市内の病院に搬送されたが同日午後3時59分、帰らぬ人となった。ビッグレース中の死亡事故は67年8月以来。

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 87期のルーキーチャンピオンレースを優勝、全プロ大会の4キロ個人追い抜き種目で6年連続優勝中、また7月のサマーナイトフェスティバル(G2)で初のビッグ決勝戦進出を決めるなど、今後の飛躍が期待されていた内田選手がG1大会レース中の落車事故で死亡した。
 同選手は初日7Rに9番車で出走。残り半周を切った最終3コーナーで他選手と接触し落車。その際、顔面を強打した。走路補助員が救護に向かったが、呼吸するたびに鼻と口から吐血している状態で、バンクは赤く染まった。管理棟医務室から医師と看護師が走路に駆け付け、その場で応急措置が施された後に医務室に搬送、心臓マッサージを行いながら救急車で一宮市内の病院に搬送されたが、午後3時59分に死亡が確認された。
 競輪場の検車場内は内田の容体を心配する選手仲間で重苦しい雰囲気に包まれた。しかしその思いも届かず、午後5時に最悪の結果が選手代表に伝えられた。7時前に関係者と選手代表で会議を行い、8時に12日の開催を行うことが決まった。伊藤功二・競技委員長は「開催を続けることによる批判、開催を中止順延する意見など、さまざまな意見をいただいたが、栃木県の選手が“内田選手のために走りたい”と言ってくれたので(2日目以降の)開催を決めました」と話した。
 午前10時の開門後に走路内に献花台が設けられる予定。競輪界のお祭りであるオールスター初日に起こった悲劇…。選手は複雑な思いを胸に残り4日間を戦うことになる。

 ▼内田 慶(うちだ・けい)1981年(昭56)2月11日、東京都出身。作新学院高卒。02年8月プロデビュー。通算成績は421戦82勝、2着56回。通算獲得賞金は1億173万円。第87回生ルーキーチャンピオンレース(03年)で優勝。自転車競技でも活躍し、全日本プロ選手権自転車競技大会では4キロ個人追い抜きで03年から6年連続で1位。国際大会では04年アジア自転車選手権(日本大会)個人追い抜き1位などの戦績を持つ。師匠は福田明(期前・引退)。1メートル80、80キロ。

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