ウオッカの目覚め呼ぶ岩田魂/安田記念

[ 2008年6月5日 06:00 ]

岩田を背に坂路で追い切ったウオッカ

 春のマイル王決定戦「第58回安田記念」の追い切りが4日、美浦、栗東両トレセンで行われた。栗東では、昨年のダービー馬ウオッカが新コンビの岩田康誠(34)を背に坂路で軽快な動き。新たな一面を引き出し、ダービー以来1年ぶりの白星をつかむことができるか注目が集まる。

 ダービー馬の乗り心地が最高だったことは岩田の表情を見れば分かる。自然と笑みがこぼれてしまう。
 「ウオッカに乗れることは本当に光栄。凄い瞬発力だと思いながら今まで見てきたが、実際に乗ってみて素晴らしい背中だと実感した」
 ヴィクトリアマイルから中2週とあって、追い切り自体はおとなしめだった。坂路で単走。馬場の真ん中を進み、残り200メートルで右から手綱越しにグッと気合を注入しただけ。ハミをかませ、首を使わせ、ゴールまで真っすぐに駆け上がった。4F52秒5~12秒9。だが、時計以上に速く見せ迫力も感じさせた。「馬場が悪かったのに最後までしっかり走った。しかも余裕がある。ゆったりしたフォーム、大きなストライド。さすがや」。岩田の賛辞は止まらなかった。
 岩田へのスイッチは復権へのいいきっかけになるかもしれない。「四位、武豊騎手はともに似たタイプ。違ったタイプの岩田騎手でどんな競馬になるか楽しみ」と角居師は語る。繊細な牝馬。これまでは柔らかく乗る四位、武豊はパートナーとしてうってつけだった。ただ、やや頭打ち気味の現状。何か刺激が必要だ。強じんな下半身で御し、パワフルに追うタイプの岩田の手によって、ウオッカの中に眠っていた闘争心に火がつく可能性もある。「とにかく瞬発力を生かしたい。相手関係は考えず持ち味を生かすことだけを考える」。岩田も自分に課せられた役割を分かっている。
 肝心の体調面も上昇ムードだ。前走478キロだった体重は先週5月29日の時点で488キロまで戻っている。「前走後、体に張りが出てきた。順調に調子を上げており、体重も体調もプラス」と指揮官は語った。ならば大仕事を期待していい。「マイルはレースをしやすい。外国馬を含め、ぜひライバルを負かしたい」。角居師は1年ぶりの完全復活を高らかに宣言した。

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2008年6月5日のニュース