1着ディープスカイ

[ 2008年6月2日 06:00 ]

鮮やかに大外強襲を決めた四位はディープスカイをねぎらう

 競馬の祭典「第75回日本ダービー」は1日、東京競馬場で行われ、1番人気ディープスカイが大外から豪快に差し切って優勝。四位洋文騎手(35)は昨年のウオッカに続くダービー2勝目で、連覇は武豊騎手に次ぐ史上2人目の快挙となった。2着には12番人気スマイルジャック、3着には6番人気ブラックシェルが入り、3連単は20万1300円の高配当となった。

 何という強さだろう。終わってみれば、堂々の1番人気。ディープスカイの破壊力は次元を超えていた。残り1F、内から抜け出したスマイルジャックに12万大観衆がどよめく。が、次の瞬間。とんでもない大外をスカイが突き抜けていた。3F34秒2!!展開など問答無用の鬼脚。最終4コーナー15番手から14頭をゴボウ抜きした四位は歓喜のゴール後、高々と2本の指を突き出した。昨年のウオッカに次ぐV2。史上2人目のダービー連覇の偉業を達成した四位には、穏やかな笑顔が浮かんでいた。
 「本当に強かった。騎手はともかく馬には一生に1回だけのダービー。1番人気の責任を果たせて(3番人気だった)昨年と違った充実感があります。期待通りの末脚だった。ゴール後?ファンの方が期待していると思って“2”を出しました」
 開業9年目で夢にまで見た頂点。昆師は人目もはばからず感涙にむせた。検量室前では何度も何度も眼鏡を外しハンカチを目元へ。「雲の上にいるようです。直線?声がかれ果てました。開業した時はダービーを獲るような厩舎になるなんて…。ついて来てくれたスタッフのみんなに感謝してます」と言葉を震わせた。
 コツコツ、階段を上がって11戦目。未勝利を勝つのに6戦も要したスカイを頂上へ押し上げたトレーナーの手腕は光った。「馬の体質は弱かったが…。育成場に出すよりは手元に置いた方がいい」と同師。放牧に出したいのをこらえ、栗東の坂路を毎日のように駆け上がらせた。NHKマイルCから中2週の強行軍にもかかわらず、馬体重6キロ増とボリュームアップ。四位は「3歳とは思えないほど、馬場入場の時も堂々と落ち着いていた」と驚く。
 キングカメハメハに続く史上2頭目のNHKマイルCとの“変則2冠”の偉業。走るたびに強さを増すスカイには、無限の可能性が広がる。夏はご褒美の休養。来春はドバイ遠征を視野に入れている。昆師は「もともと体質が弱かった馬。宝塚記念はパスして休ませたい。秋の路線は皆さんの考えも聞いて考えます。海外?自分が1度行った場所(今春イイデケンシンでドバイ遠征)に行きたい。それだけの馬だと思ってます!!」と力強く言い切った。「このまま、無事にいってほしい」。四位の願いはただ1つだ。8150頭の頂点に立ち、表彰式に臨んだスカイの晴れ姿をさわやかな青空が祝福していた。
 ▼ディープスカイ 父アグネスタキオン 母アビ(母の父チーフズクラウン)牡3歳 栗東・昆厩舎所属 馬主・深見敏男氏 生産者・北海道浦河町笠松牧場 戦績11戦4勝 総獲得賞金3億5140万1000円 主な勝ち鞍は毎日杯、NHKマイルC。
 

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2008年6月2日のニュース