花組・明日海りお(上)「寂しくもあり、ありがたくもあり」

[ 2019年9月14日 05:30 ]

サヨナラ公演に「寂しくもあり、ありがたくもあり」と話す明日海りお
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 兵庫・宝塚大劇場で上演中の花組トップスター、明日海りおのサヨナラ公演「A Fairy Tale/シャルム!」(30日まで。東京宝塚劇場は10月18日~11月24日)には連日、当日券を求める熱心なファンが行列を作る。

 「A Fairy…」は「気高い薔薇の精」から、人間の少女に恋したことで「青い薔薇の精」になった妖精に明日海がふんし、時を超えた人間との触れ合いを描くファンタジー。その幻想的な世界と明日海の息をのむような美しさが客席を引きこむ。

 約5年半もの間花組トップに君臨し、一時代を築いた。下級生時代はその愛らしいルックスから「娘役の方が合っているのでは?」と言われたこともあるが、その度に「人一倍男役へのこだわりが強くなった」とバネにした。月組から組替えを経て花組トップに就任したころは、宝塚で最も伝統ある組の頂点に立つことに重責を感じていた。「こんなことではダメだ、とうこともありましたが1作品、1作品、自分のできるすべてをやってきて、時間をかけて共演者との絆を作ったり、少しずつ自分の自信につながってきた」と、確実に結果を出してきた。

 宝塚最後の日が近づくにつれ「何をするにも〝これも最後なんだな〟と思って寂しくもあり、ありがたくもあり」と正直に心境を吐露した明日海。「退団後のことを考えてみたこともあったのですが、お稽古にすべてを注いでいない罪悪感にさいなまれて体調を崩しそうになったので、考えるのやめました」。どこまでも真摯(しんし)に向き合う男役・明日海のラストステージ。注目度は高まるばかりだ。(土谷美樹)

 ◇明日海りお(あすみ・りお)6月26日生まれ、静岡市出身。静岡雙葉中を経て03年初舞台。月組配属。13年3月、花組に組替えし14年5月トップスター就任。身長1メートル69。愛称・みりお。

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