轟悠(下)「完璧な美しさ」に「リアルさ」加える…それが“男役の教科書”としての使命

[ 2018年6月30日 12:06 ]

「凱旋門」(7・9まで宝塚大劇場。7・27~9・2東京宝塚劇場)

宝塚の伝統をつなぐことの使命感を漂わせる轟悠
Photo By スポニチ

 “男役の教科書”として君臨する専科スター轟悠。現在、兵庫・宝塚大劇場で上演中のミュージカル「凱旋門」(7月9日まで。東京宝塚劇場は7月27日〜9月2日)に主演し、芝居の深さで客席のため息を誘う。

 雪組トップスターだった18年前にも同じ役を演じているが、轟は「今思えば、当時の私には理解できない演技の域がありました。この18年間、私自身がいろんな役をやってきた成果なのか、役の心情であったり、いろんなことがすんなり体に入ってきている」と実感を込めた。

 トップから専科に異動して16年。その存在は“宝塚の至宝”と呼ばれ、生涯現役タカラジェンヌだった春日野八千代さんをほうふつさせる。轟も「春日野先生がつくり上げられた、宝塚らしい完璧な美しさ。それを受け継ぎながら現代らしいリアルさを加えるのが、宝塚の伝統をつなぐ私に与えられたということ」と言葉を選びながらも使命感を漂わせる。

 「リアルさばかりを追求すると“宝塚の男役”ではなくなるし、男役が男役としてしっかり立っていなければ女役さんの魅力も消える。まだまだ追求していく課題は多い」。永遠に続く芸の道を轟はまだまだ歩み続ける。(土谷 美樹)

 ◆轟 悠(とどろき・ゆう)8月11日生まれ、熊本県出身。人吉市立第一中を経て85年初舞台。月組配属。88年に雪組に異動。中堅のころからリアルな男役像が人気で97年、雪組トップスターに。02年に専科入りし翌年劇団理事に就任。代表作として知られる「風と共に去りぬ」のレット・バトラーは5回演じている。身長1メートル68。愛称「イシサン」。

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