竹中功のナニワ新報

vol.19 気になる吉本新喜劇役者

[ 2018年1月10日 17:00 ]

「きょうと新喜劇」に力こぶの森田(左)と筆者
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 その人は森田展義、42歳。吉本新喜劇の舞台に立って13年。

 茂造じいさん(辻本茂雄座長)公演の際、借金取り役が多く、アドリブに弱いといういじられ方で「てっぺんはげ」とか「ザビエル」と呼ばれたり、けったいなブラジャー姿で出ていることをご覧になられた方もおられるだろう。

 本人に聞くと夢はやはり吉本新喜劇のてっぺんになること。ただそれ以上に「森田展義が出てる舞台は確実にオモロイ!」と言われたいことだ。

 吉本新喜劇は集団で創作する笑いなので、漫才や落語のように、個人やコンビやトリオの単位で創造されるものではない。作・演出家と座長が膝を合わせ喧々(けんけん)がくがくとやり合いする。もちろん役者にも役柄やセリフの感触も聞きながら作られている。

 舞台は神社の境内や旅館、田舎の診療所や公園などと、誰もが馴染んだ所が設定され、そこでドタバタ喜劇が繰り広げられる。

 吉本新喜劇の誕生は1959年3月なので、そろそろ60年を迎える。たまに時代とずれたりする設定もあるが、基本的には60年間近く「新作」を上演しつづけているのだ。

 劇場やテレビで見ている人にとっては何度か見たことがある舞台設定や何度見ても笑ってしまうスーパー・マンネリ・ギャグも多いが、実際には作品ごとに新作として作られているのだ。過去の台本を参考に制作されることも多いが、基本「新作」なのである。

 そうでなければ「吉本“新”喜劇」と呼ぶわけには行かないのだ。

 そんな中で、森田は舞台に掛ける「お客さんを笑かす」熱意はもちろん強いのだが、花月を飛び出しての「他流試合」にも積極的である。

 それはカナダ留学時に出会った「インプロ」である。「インプロ」とは「即興劇(インプロヴィゼーション)」の略で、打ち合わせや台本もなく、その場で貰った「お題」を元にその場で芝居を作るものだ。例えば突然、医者と患者の関係にされたり、謝罪会見をさせられたり、映画監督や漫画家になったりなどと、どんな場面でどんな役になって、どう展開するのか全てがアドリブなのである。

 森田は以前このコラムでも紹介した作家・演出家の後藤ひろひとや役者の川下大洋、橋田雄一郎、国木田かっぱなどと組み「インプロマニア」というイベントにの取り組んでいる。ここには吉本新喜劇から池乃めだかやアキなども参戦することもある。

 まさに「参戦」と呼ぶべきバトルなのである。ダウンタウンの松本人志が大喜利などでお笑い芸人の即興性を引き出し戦わせるがごとく、「芝居」と言う世界でその場で作り上げて行くものである。当然、吉本のことである。笑いが溢れていなくてはお客さんは満足しない。

 また、新喜劇の仲間の人となりを知るならここと言うべきインターネット・トーク番組「森田展義アワー」を2011年より毎週1時間発信している。

 過去には末成由美、島田一の介、浅香あき恵、島田珠代などのベテランから、ギターを持った借金取り松浦真也や乳首ドリルの吉田裕らが出演している。私も吉本在職中は新喜劇には関わっていたのだが、ほとんど話したこともなかった美人女優・高橋靖子の素性を垣間見ることができたのも、この放送である。

 そして京都市出身の森田が“京風キャラ”を演じ、祇園花月を拠点に行っている「きょうと新喜劇」が1月26日19時より開かれる。これまで森田の声がけで間寛平や坂田利夫らがシークレットゲストとして参加。7回目となる今回も大物ゲストが登場予定で、ハチャメチャ喜劇になることは必至である。

 昨年の秋、京都府文化観光大使にも任命された。京都には映画の撮影所もあれば狂言もある。芸妓(げいこ)さんや舞妓さんもいる。歴史もある。そんな京都にこだわった「お笑い」の発信をもっともっと行いたいと鼻息は荒い。是非、ナマの森田に触れてやってほしい。

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