365日 あの頃ヒット曲ランキング 8月

【1988年8月】ANGEL/全員一致で決まった 氷室京介 ソロ1発目でBOOWY超え

[ 2011年8月31日 06:00 ]

 ★88年8月ランキング★
1 ANGEL/氷室京介
2 人魚姫/中山美穂
3 SEVEN DAYS WAR/TM NETWORK
4 Diamondハリケーン/光GENJI
5 DEAR~コバルトの彼方~/荻野目洋子
6 19/アルフィー
7 アクアマリンのままでいて/カルロス・トシキandオメガトライブ
8 What’s your name?/少年隊
9 みんなのうた/サザンオールスターズ
10 渚のすべて/杉山清貴
注目セシル/浅香唯
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【ANGEL/氷室京介】

 「BOOWYを超えなければ意味がない」。前年87年12月に6年続けたバンドを解散した時、氷室京介が常に持ち続けたテーマはこの一点に尽きると言ってよい。

 “ファンサービス”と位置付けた東京ドームでの「LAST GIGS」から、わずか3カ月余。氷室はソロファーストシングル「ANGEL」をリリース。オリコンチャートで4週連続1位になるなど、88年8月を代表する大ヒットとなった。BOOWY時代の最大のヒットシングルだった「マリオネット」を上回る38万枚をセールスし、数字の上でまず伝説のバンドを超えた。

 氷室がソロでスタートするにあたり、パートナーに選んだのが、ミュージシャンの吉田建。泉谷しげるのところでベースを弾き、バックバンドをまとめていた。BOOWYとのつながりも深く、布袋寅泰と前妻の山下久美子を結びつけたのも吉田だった。

 気持ちの切り替えは驚くほど早かった。解散を宣言したクリスマス・イブの公演の翌日には、もうソロ活動の曲作りに入ったという。「基本的に休むのは向いていない。休むと逆に疲れちゃう。やりたいことを次々やるほうが落ち着く」と当時の氷室は語っていた。

 意外なことに氷室はバンド時代に「我慢していることがあった」という。バンドでやっている以上、一人で突っ走るわけにはいかない。ぶつかり合うこともあるが、最終的には妥協点を見出さなければならない。バンドで作っていく音や世界から、自分の目指す方向、自分の抱いている思いを素直に大胆に表現する。氷室がテーマとした“愛”を前面に出したのが、ソロシングル第1弾だった。

 氷室がレコーディングまでにデモ・テープに吹き込んだ、新曲候補はアルバム1枚分の10曲。吉田をはじめとする新スタッフでのミーティングでシングルとして発売することになったのが「ANGEL」。全員一致での決定だった。

 ほとんど甘い言葉のない、ちょっと乱暴な愛の表現を歌詞にした曲だったが、BOOWYの頃の、やや斜に構えた世界よりも、聞いている方が照れるほどストレートな歌詞は、BOOWYの氷室からソロアーティストへの脱皮宣言のようなものだった。

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