2016年NHK大河ドラマ「真田丸」

「真田丸」北条氏政役は運命?高嶋政伸が語る“汁かけ飯”秘話

[ 2016年6月5日 05:30 ]

「真田丸」で北条氏政を演じる高嶋政伸(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で、一際異彩を放つキャラクターがいる。俳優の高嶋政伸(49)演じる北条氏政。第22話(5日放送)から北条家にスポットが当たる。不気味な表情で飯に少しずつ汁をかける“汁かけ飯”は放送開始当初から話題に。氏政を熱演する高嶋に今作に懸ける思いを聞いた。

 初登場は第1話の終盤。いきなり“汁かけ飯”のシーンだった。セリフはなく、飯に汁をかけて黙々と食べる不気味な男は、約20秒間の初お目見えで強烈なインパクトを残した。高嶋も「最初に汁かけ飯というのは大きいですよね。あそこでキャラクターの方向性がはっきり見えました」と振り返る。

 今や氏政の代名詞となっている“汁かけ飯”。飯に汁をかけて食べていた氏政が、途中でもう一度汁をかけたところ、父の氏康が「毎日飯に汁をかけているのに、一度で適量がかけられない奴が領主として民や家臣の気持ちを推し量ることができるのか」と学習能力のなさを嘆いたという歴史上のエピソードが基になっている。

 「お父さんから『国を守ることはできない』と言われ、あえて自分のやり方で食べる。戦争のやり方も同じで、じわりじわりと攻めていく。慎重に、確実に相手を負かしていくというキャラクターを表現する上で“汁かけ飯”は役立ちました」

 実は、氏政を演じることが運命だったかのような“汁かけ飯エピソード”が自身と父・高島忠夫(85)との間に存在する。「昔、お茶漬けを何度かかけていたら、父親に『1回に食べる分も分からないような奴はダメだ』と言われたんですよ。(台本を見て)ビックリして『これ、うちの父親に言われたことですよ』と(脚本の)三谷(幸喜)さんにも話しました」と告白。「あと『矢は1本だとすぐ折れるだろう。しかしな、お兄ちゃん(高嶋政宏)と2人、2本だと折れにくい。3本だったら絶対折れないぞ』とも言われました。その時は『父親って、すごいな』と思いましたが、全部史実でした」と笑う。

 天下統一に王手をかけた豊臣秀吉(小日向文世)。氏政は秀吉の上洛要請に応じない。第22話(5日放送)からは北条家の滅亡が描かれる。

 最期を迎える直前にも“汁かけ飯”のシーンがある。高嶋は「最後に汁をかける時、今まで氏康みたいに食べる分だけサーッとかけてきていたら『俺(氏政)の人生、変わって
いたかな』とか感じちゃうような気がするんですよね。いろいろなことを思い出すように…」と、人生の分岐点があったのではないかと振り返るような氏政の心情を推し量る。

 「秩序だったものが崩れていく様というのは演じ甲斐があるんですよね。初めて信繁(堺雅人)との1対1のシーンがあるので、思い残すことのないように演じたいです。堺さんというバイタリティーと才能がある役者さんの胸を借りるつもりで、いろいろなものを吸収して。“高嶋政伸”を一瞬でも忘れる瞬間があればいいですね。氏政になり切れる瞬間があれば」とラストシーンに向けて気合を高めている。

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