藤井王将 40年ぶり最年少名人の更新に黄信号 菅井八段とのA級順位戦に敗退 菅井中飛車に3度目の苦杯

[ 2022年8月11日 00:56 ]

A級順位戦の2回戦で菅井竜也八段(右)と対局する藤井聡太王将(左、日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含めて5冠=が10日、地元・名古屋将棋対局場で第81期名人戦A級順位戦の2回戦に臨み、菅井竜也八段(30)に敗れて1勝1敗になった。藤井には谷川浩司十七世名人(60)が1983年に達成した21歳2カ月での最年少名人の記録更新が期待される。ただ、そのチャンスは今期のみ。

 棋士10人が総当たりで9局ずつ指し、来春開催の名人戦7番勝負で渡辺明名人(38)への挑戦権を争うA級。最近10期の名人戦挑戦者はうち8人が無敗か1敗で挑戦権を獲得した。今後1敗で全9局を指し切るためには残り7局の全勝が求められるため、40年ぶりの記録更新へ黄信号が灯ったと言えそうだ。

 「(1筋の)端を突き越す形になったが、それを主張にできなかった」。序盤に投入した2手を寄せに活用できず、藤井は取材に淡々と応じた。順位戦もまだ序盤と言える2局目で1勝1敗となり、「判断力が足りなかったのかなと思う。本局はミスが出てしまっているので、内容をよくしていかないといけない」と前を向くように振り返った。

 対局は、菅井の先手で、戦型は菅井の中飛車になった。居飛車党の藤井は16年10月のデビュー以来、中飛車との将棋が計29局あり、25勝3敗1千日手。勝率・893の高率を誇るがこの3敗のうち、2敗を菅井から喫していた。

 初対戦から菅井が中飛車で2連勝し、その後、2度の千日手指し直しを挟んで藤井が5連勝を返し、対戦成績を逆転した。5連勝のうち最初の2勝は菅井の中飛車を打ち破った。1日制では最長、持ち時間6時間の順位戦での対局は8戦目で初めて。菅井はエース戦法を再投入した。

 「形勢判断の難しい将棋だった。あまり勝敗は気にしていない。精一杯頑張れれば」

 A級唯一の振り飛車党の存在感を示す1勝だったが、菅井は言葉から感情を排した。ただ、両者青椒肉絲(チンジャオロース)弁当を注文した昼食に、味噌串カツ弁当を追加した点については、「一杯食べようかなと…」と勝者は苦笑いした。

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2022年8月11日のニュース