阿川佐和子さん 7年前に死去した父への最後の料理と感想に苦笑い「それが最後の言葉でした」

[ 2022年8月8日 14:27 ]

阿川佐和子さん
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 作家でエッセイストの阿川佐和子さん(68)が、8日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」(月~金曜後1・00)にゲスト出演し、9年にわたる両親の介護生活について語った。

 父の作家・阿川弘之さんは15年に94歳で死去。20年には母みよさん(享年92)を看取った。「父が15年に亡くなって、この間、母の三回忌があって、両親ともいなくなっちゃって、しばしたちました」と報告した。

 11年ごろ、母に認知症の兆候がみられるようになったという。「冷蔵庫に同じものがいくつも入ってた」。銀行で下ろした大事な金の保管場所を忘れたこともあったといい、「一家大捜索。そういうことが繰り返されてきて、日常生活に支障を来したなと思い始めて」と明かした。しばらくして、今度は父が転倒し、誤嚥性肺炎で緊急入院したという。

 阿川さんは仕事をセーブして付きっきりになることも考えたが、「それをやって、私が犠牲になって頑張っているんだという気持ちを持ったら、だんだんこっちがキンキンカンカン壊れていくんだろうと思ったので、自分を追い詰めちゃいけないなと」。父を高齢者用の病院に入れたという。

 当初は乗り気でなかった父も、酒を飲めたり、外食や外出も自由な病院だったこともあってか、なじんでいったという。「温かい物が食べたい」という父に、阿川さんが調理器具などを持って行き、病室ですき焼きをしたことも。「亡くなる前の日まで、“ステーキが食いたいな”と。“鯛の刺身も食いたいな”と(話していた)」とも明かした。

 阿川さんはそんな父のため、真夏に走り回って鯛の刺身を購入。父が好きだった、とうもろこしの天ぷらを揚げて持って行ったという。「しばらく咀嚼してたんですよ。そのうちにベッて、口に出し始めたから、“もういらないの?”って言ったら、“まずい”って。娘が作った…」と苦笑い。そして、「それが最後の言葉でした。娘に残した最後、“まずい”って終わったんです」と打ち明けた。

 認知症が進む母とも向き合った。17年に結婚した阿川さんは、身内を集めて結婚の報告会を開いたが、記憶があいまいになり始めていた母は、報告するたびに驚いていたという。「それまでずいぶん会ってるのに、“えっ?佐和子が結婚するの?”って。母が5分ごとに“結婚するの?”って。それだけはビックリしてました」と振り返った。

 次第に、阿川さんの名前も出にくくなってきたという。「この人は誰ですか?って(自分について)聞いたら、“私のおばあさん”って。そこまでいっちゃったと思って。“おばあさんはひどくない?”って言ったら、じーっと私のことを見て、“だってしわしわじゃない?”って。そういうとんちだけは頭が回るんです。おかしかったです」と、懐かしそうに話していた。

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2022年8月8日のニュース