NHK異例の試み ドラマ脚本開発チームを発足!世界席巻へメンバー公募「鎌倉殿」神回演出・保坂Dが代表

[ 2022年6月1日 15:00 ]

世界を席巻するドラマを作る!「脚本開発チーム WDRプロジェクト」のロゴ(C)NHK
Photo By 提供写真

 NHKは1日、世界を席巻するドラマを制作するため「脚本開発に特化したチーム」を新たに立ち上げ、最大10人のメンバーを募集すると発表した。プロジェクト名は「WDR(Writers’Development Room)」で、海外のシステムも取り入れた従来とは異なるスキームに挑戦。脚本開発チームのメンバーを公募するのは、日本のテレビ業界としては異例の試みとなる。プロジェクトの代表は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)の演出の1人、保坂慶太監督が務める。

 従来のシナリオ賞やシナリオ公募とは一線を画した「人材発掘」が今回の狙い。

 今回は最大10人のメンバーを選抜。それぞれが自分の企画として「パイロット脚本(シリーズドラマの第1話)」を執筆。さらに、構想段階から他のメンバーと物語の内容を共有し「ブレスト会議」にも参加。お互いにアイデアを出し合う。

 海外のシリーズドラマ制作は、複数の脚本家が「ライターズルーム」という場に集い、共同執筆することが一般的。今回のブレスト会議は、海外のライターズルームの役割を担う。2019年、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学し、シリーズドラマの脚本執筆コースを履修・修了した保坂監督ならでは。

 例えば、構成が得意な人と台詞が得意な人のコラボレーションが可能。展開に行き詰った時、仲間と一緒に悩み、考えられる。「才能の掛け算」により、物語の完成度を高める。

 執筆された脚本は、NHK局内の提案会議でプレゼンテーション。企画が採用され、放送が決定した際には、発案者のメンバーを中心に第2話以降の脚本を練っていく。

 保坂監督は07年にNHK入局。大河ドラマ「真田丸」、連続テレビ小説「まんぷく」、よるドラ「だから私は推しました」などに参加。「鎌倉殿の13人」は“神回”と大反響を呼んだ第15話「足固めの儀式」(4月17日)、第20話「帰ってきた義経」(5月22日)などを演出した。

 応募資格は今年10月から来年5月まで、週1~2回の会議に参加し、脚本を提出し続けることが可能な人。経歴・学歴・年齢不問。今年6月下旬からホームページで受付開始予定。締め切りは7月31日午後11時59分。詳細はホームページ(https://www.nhk.or.jp/wdr/)へ。

 保坂監督は「“世界を席巻するシリーズドラマを作る”。このプロジェクトが抱く野望です。莫大な予算を使って撮影に臨む、ということではありません。WDRは、ドラマの根幹である“企画と脚本”に資するプロジェクトです。世界中の優れた新作ドラマが毎日のように届く中、私たちはドラマの開発方法を見直し、変革する必要に迫られています」と現状に危機感。

 「そこで今回のプロジェクトでは、海外のシステムも取り入れ、従来とは異なるスキームで脚本開発することに挑戦します。なるべく間口を広げて才能を発掘し、選抜メンバーがコラボレーションする場を設けます。“チーム”で物語の強度を高めることが、WDRの狙いです」とプロジェクト立ち上げの意図を明かした。

 「ドラマの脚本を書いたことがなくても構いません。例えば、漫画家・コント作家・構成作家・コピーライターの方も大歓迎です。物語を書くことを生業にしたい学生や社会人の応募も待っています。ストーリーテラーとしての皆さんの強みを、課題脚本を通じて是非教えてください。この声掛けにどんな人が応じてくれるか、今は見当もつきません。ですが、才能と大志を併せ持つ仲間が集うと信じて、宣言します。WDRでは、イッキ見したくなるほど夢中になる、そんなシリーズドラマの脚本開発を目指します」と期待。応募を呼び掛けた。

続きを表示

2022年6月1日のニュース