村上春樹氏と山下洋輔トリオが学園紛争下の早大「伝説のライブ」再現 69年以来大隈講堂“再乱入”

[ 2022年6月1日 05:00 ]

1969年7月に早大で行われた「山下洋輔トリオ」のフリージャズライブ。(右から)中村誠一、山下洋輔、森山威男
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 学園紛争の嵐が吹き荒れる1969年にバリケードで封鎖された早大キャンパスで演奏された「伝説のライブ」が、作家の村上春樹氏(73)とジャズピアニストの山下洋輔(80)によって7月12日、東京都新宿区の早大大隈記念講堂で再現される。31日、主催のTOKYO FMなどが発表した。

 「伝説のライブ」は69年7月、学生たちが大隈講堂のピアノを運び出し、キャンパス内で敢行。当時27歳の山下が、テナーサックスの中村誠一(75)、ドラムの森山威男(77)の「山下洋輔トリオ」で“乱入”。対立する学生もその時だけは演奏に聞き入った。「山下洋輔トリオ」は世界のジャズシーンに名前をとどろかせたが、この早大での演奏がトリオの初レコーディングにもなった。

 当時、村上氏は早大在学中。再現ライブは「村上春樹presents山下洋輔トリオ 再乱入ライブ」と銘打ち開催。山下と村上氏のトークなども織り込まれる。村上氏は「伝統を継承し、引き受けながら新しい独自の地平を拓(ひら)き続けてきた山下洋輔さんの音楽。それを一つの糧として、推進力として、僕ら自身の新しい地平を共に明るく拓いていこうではありませんか」とメッセージ。山下は「我々の演奏が、現在の若い世代に何ごとかを伝えることになればうれしいです」とコメントしている。

 ▽1960年代の学園紛争 日米安全保障条約改定やベトナム戦争を巡り盛んになった。68年ごろからは全学共闘会議(全共闘)と呼ばれる運動形態が出現。授業放棄やストライキ、大学のバリケード封鎖などを行った。69年1月には、全共闘や新左翼の学生が東京大学安田講堂を占拠し、機動隊と大規模な衝突を繰り広げた末に排除される東京大学安田講堂事件が起きた。全共闘運動は全国に拡大し、過激化、長期化した。

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