「ちむどんどん」作者・羽原大介氏 「4兄妹にますます試練が待ち受けている」

[ 2022年5月3日 08:30 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」の一場面(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の作者・羽原大介氏(57)に作品の見どころなどを聞いた。

 ──朝ドラの脚本は「マッサン」(2014年)以来、2回目ですね
 「『マッサン』は男性が主人公(玉山鉄二)で、初の外国人ヒロイン(シャーロット・ケイト・フォックス)だったことを含め、変化球的な要素のある作品でした。その脚本を書き終わった後、自分がずっと見てきた王道の朝ドラ、1人の女性を少女時代から描いていく朝ドラに挑戦したいという気持ちがありました」

 ──今回はどのように企画がスタートしたのですか?
 「NHKさんの方から『本土復帰50年の朝ドラに興味ありますか?』というお話をいただきました。制作統括の小林大児さん、演出の木村隆文さんから『物語のヒントの一つとして“若草物語”(米国で1869年に出版された小説で、4姉妹の物語)のイメージはどうでしょうか?』というご提案があったので『面白いと思います』とお答えし、『きょうだいの一番上は男性の方が面白いのでは?』と提案しました。破天荒な長男を設けることで、家族の間でいろいろなトラブルが起こり、物語が転がっていくと考えました。その結果、跳ねたストーリー展開になったと思います」

 ──「沖縄本土復帰50年」という部分に関してはどう考えましたか?
 「最初は、重大なテーマを背負って書いていかなければいけないのかと思い、とてもプレッシャーを感じました。しかし、小林さん、木村さんとの打ち合わせの中で『沖縄の話ではあるけれど、日本各地のどこにでも当てはまるような、普遍的な家族の愛のドラマを作れば良いのではないか』という話になりました。どこの誰にでも当てはまるような、故郷から上京するヒロインの話を書こうと考えました」

 ──その後、ヒロイン・暢子役に黒島結菜さんが決まりましたね。
 「暢子には『天真らんまん』というイメージが既にあり、イメージ通りのキャスティングでした。黒島さんのお芝居はほかのいくつかのドラマで拝見していて、コメディエンヌの面があり、感情をストレートにぶつける部分もあり、共演者が誰であっても全てご自身のフィルターを通してお芝居を返せる、懐の深い女優さんだと思っていたので、暢子役に決まってうれしかったです」

 ──脚本を書き進めていく中でどんなことを感じましたか?
 「この作品は暢子を中心とする普遍的な家族の愛の物語ですが、長男・賢秀(竜星涼)、長女・良子(川口春奈)、三女・歌子(上白石萌歌)、母・優子(仲間由紀恵)のそれぞれの物語が同時進行していて、群像劇になっています。当初は、こんなに多くの人たちの話が1週間のうちに詰まっていて大丈夫だろうか?見ている方々が混乱しないだろうか?と不安でしたが、試写した段階で、心配する必要がないことが分かり、安心しました。演出や編集などの力のおかげ、役者さんたちが与えられた役割を真摯に果たしてくださっているおかげです」

 ──今後の見どころは?
 「弱い人たちへの応援歌的なストーリー展開になっていると思います。貧しい家に育った4兄妹には、今後、金銭的なことも含め、ますます試練が待ち受けています。家族に何か問題が起きると、自分も決して楽ではない生活の中で助け合って先に進んでいきます。今は嫌なニュースがずっと続いて閉塞感を感じている方々も多いかと思いますが、みんなで励まし合い助け合って進んでいけば明るい未来が待っていると感じていただけるようなドラマになればいいと思っています」

 ──恋愛模様の方はいかがでしょうか?
 「4兄妹それぞれの恋愛をかなり色濃く書いているので、楽しく見ていただけると思います」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2022年5月3日のニュース