「プロフェッショナル」小栗旬SPは異例の構成 番組D“鏡”に全編対話 最後の最後に吐露した流儀とは?

[ 2022年5月3日 07:00 ]

3日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」主演の小栗旬に400日間の完全密着。収録中に満面の笑み(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)の主演を務める俳優・小栗旬(39)に400日間に及ぶ取材を敢行した同局のドキュメンタリー「プロフェッショナル 仕事の流儀 小栗旬スペシャル」(総合、3日後7・30~8・42)。小栗にとっては2007年11月のTBS「情熱大陸」以来、約15年ぶりの長期密着番組となった。和田侑平ディレクター(32)が撮影100時間超に及んだ取材の舞台裏や小栗の魅力を明かした。

 「鎌倉殿の13人」はヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 「撮られたくないものはない。聞かれたくない質問もない」。2020年12月にスタートした取材の初日、小栗はこう言い放った。その言葉通り、稽古場から移動の車中までカメラをすべて受け入れた。

 予告動画には「小栗旬という役者は、この数年で死ぬんだよ」「一度もいい芝居なんかしてない、人生生きてきて」などと、スター俳優らしからぬ言葉が並ぶ。「(今の小栗旬を撮っても)おもしろくないよ」「自分がないんだよ、たぶん」。弱音を吐き、はぐらかし続ける日々。NGなしの真剣勝負。長期密着の末、最後の最後に見つけた小栗の流儀とは…。39歳、知られざる等身大の素顔に迫る。

 ――「プロフェッショナル」には、番組制作の舞台裏を担当ディレクターの先輩・後輩がつづる連載「あいつ、どう撮った?」があります。3年先輩の奥翔太郎ディレクターが制作した「サンドウィッチマンスペシャル」(21年3月)について和田さんが書いた文章で「漫才は、いち早く客を引き付けるこの“ツカミ”が大事だと聞いたことがある。それは我々が制作する番組も同様で、冒頭の入りがカギを握る」。今回の小栗旬スペシャルの冒頭は、どのようになりますか?

 「『プロフェッショナル』は通常、アバンと呼ばれる見どころを凝縮したオープニングから始まるものが多いですが、今回は取材初日のドキュメントから始まります。私と小栗さんが初めて出会う場面から、開口一番、予想外の発言をする小栗さんの姿へと続きます。きっと多くの人が番組冒頭から『普段、メディアで目にする小栗さんとは違う』と感じていただける作りになっているかなと思っています」

 ――いつもと異なる手法もありますか?

 「今回は通常の『プロフェッショナル』とは作り方や構成を大きく変えています。全編を通して『小栗旬とディレクターとの対話』によってストーリーが進んでいきます。プロフェッショナル班に所属して約5年になりますが、初めて全編、自分でカメラを持って撮影しました。長期ドキュメンタリーならではの、時間の経過とともに取材者(私)と取材相手(小栗さん)との距離が縮まっていく中で、胸の内を吐露していく様子を生々しく表現したかったからです。小栗さんの知られざる素顔を、私自身が“鏡”となって表現できればと考えて作りました。400日という長い時間をかけて、少しずつ小栗さんの本音が垣間見えてくる様子を楽しんでいただけたら幸いです。そして、大河ドラマファンや小栗さんファンにしか分からないオマージュやパロディーを、効果音・BGM・映像の至る所に入れています。何カ所見つけられるか、その辺も楽しんでいただけたら幸いです。今回、『鎌倉殿の13人』の収録現場で唯一、『プロフェッショナル』のカメラだけがクランクインから舞台裏の撮影を許されました。大河ドラマファンの方たちにとっても、収録の合間やリハーサルの様子などが見られるのは、現時点ではこの番組だけになります。出演者・スタッフの皆さんが、とても良い雰囲気の中で作品に向き合っている様子も伝わるかと思います」

 ◇和田 侑平(わだ・ゆうへい)2013年入局。初任の福岡局を経て、宮崎局時代に制作した「鮮魚店店主」で「プロフェッショナル」デビュー。17年の異動でプロフェッショナル班に加入。「美容師・高木琢也」「新喜劇座長・小籔千豊」「料理人・米田肇」など話題作を連発している。

 =書面インタビューおわり=

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