「鎌倉殿の13人」善児に“異例現象”OPクレジットだけでネット震撼「鬱回確定」番組CPが語る三谷脚本

[ 2022年4月24日 05:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第15話。上総広常(佐藤浩市)とすれ違う善児(梶原善・右)(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)で俳優の梶原善(56)が“怪演”している不気味な仕事人・善児(ぜんじ)が、視聴者を恐怖のどん底に陥れている。ほぼ台詞がなく、淡々と人を殺めるドラマオリジナルの登場人物。オープニングのクレジットに善児の名前があるかどうかが注目の的になる“異例の現象”も。制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサー(CP)に“善児人気”について聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛け、俳優の小栗旬が主演を務める大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 梶原演じる善児は、源頼朝(大泉洋)の命を狙う伊豆の実力者・伊東祐親(浅野和之)に仕えた下人。頼朝と祐親の愛娘・八重(新垣結衣)の息子・千鶴丸(太田恵晴)、恰幅の良い伊豆在郷武士・工藤茂光(米本学仁)、北条義時(小栗)の兄・宗時(片岡愛之助)、八重の夫・江間次郎(芹澤興人)、主人・祐親、八重の兄・伊東祐清(竹財輝之助)と次々に命を奪ってきた。

 第11話(3月20日)は「許されざる嘘」。1181年(治承5年)冬、政子(小池栄子)が2度目の懐妊。阿野全成(新納慎也)によると、親が徳を積めば望みの男児が生まれるとあり、祐親・祐清父子の恩赦が決まったものの、一転、全成は「生まれてくるお子のためには、まず千鶴丸様が成仏しなければなりません。その功徳によって、再び男として生を受けるのです。お命を奪ったのは、伊東祐親殿と聞いております。伊東殿が生きておられる限り、千鶴丸様の成仏は難しいかと」と進言。頼朝は元妻・八重の父と兄といえども、冷徹な命令を下した。

 番組公式ツイッターによると、史書「吾妻鏡」には「政子が懐妊し、源頼朝の嫡男誕生の期待が膨らむ中、三浦義澄に預けられていた伊東祐親が自害しました。御所にいた義澄は走って館に戻りましたが、その時には既に死体は片付けられていたそうです」。これが今作においては、千鶴丸殺害を善児に命じた祐親が、その善児に討たれるという皮肉の極みとなった。

 仲介役は「石橋山の戦い」(1180年、治承5年)に大敗した頼朝を見逃し、そして頼朝の家臣となった梶原景時(中村獅童)。景時は任務を遂行し、立ち去る善児を呼び止め「わしに仕えよ」と配下に引き入れた。

 そして、前回第15話(4月17日)は「足固めの儀式」。大江広元(栗原英雄)が「最も頼りになる者は、最も恐ろしい」と語った上総広常(佐藤浩市)を、頼朝が粛清。宿老たちが謀反を企んだことに乗じ、広常には敢えて反頼朝派に加わるよう頼み、責めを押しつけた。翌日、御家人たちは御所に集められ、梶原景時(中村獅童)の刀が広常の身体を貫き、見せしめとなるのを目の当たりに。「今こそ天下草創の時。わしに逆らう者は何人も許さん。肝に銘じよ!」――。頼朝の怒声にひれ伏した。景時が斬りかかってきた時、広常は自分の刀がないことに気づく。広間に入る前、すれ違った善児が広常の刀を抜き取っていた…。

 冒頭のタイトルバック時には「【緊急速報】本日、善児登場」「鬱(うつ)回確定」「OPクレジットに善児の名前があることに震え上がるTL」、登場時には「死神が画面に現れた」「アサシン善児、刀を盗って助勢していたのは吃驚である。本人が直接殺めたわけはないが、まさに死神」「しかし、今回しれっと上総介殿から刀奪ってた善児。間接的に1キルですね(これで何キル目だよ)」「善児が出た時点で上総介が殺られると思ったけど、刀を抜いて丸腰にするというのは斜め上だった…どちらにせよ、最悪すぎる策」「三谷さん、凄ぇなぁ。OPクレジットに善児とあるだけで9割ぐらいの人が善児犯行説を思っていたところに、まさかの武器をスルだけだったとは…エンタメを分かってらっしゃる」などの声がインターネット上にあふれた。

 善児の存在が文字通り、今作のキャッチコピー「予測不能エンターテインメント」を体現。“歴史の余白”を埋めるオリジナルキャラクターも、大河ドラマの醍醐味の一つ。単なる“史実の再現”にならないための重要なポジションを託された。

 善児への反響について、清水CPは「人気と言っていいのか、分かりませんけど」と苦笑いしつつも「『しめしめ、これは注目を浴びるぞ』という感じで、狙って書かないのが、また三谷さんの素晴らしいところ。(演じる)梶原さんの肉付けもあって、タイトルバックの時点から『ドキドキする』といったツイートがされているのを見ると、ある種、楽しんでいただけているのはよかったなと思います」とコメント。「真田丸」の“ナレ死”(有働由美子アナウンサー)も自然発生的に視聴者側から盛り上がった。

 源平合戦や鎌倉幕府成立後の熾烈な権力闘争を描く“ダーク大河”の一翼を担い、神出鬼没の善児。これからも一瞬たりとも気が抜けない。

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