露ミサイルでフランス全土消滅の威力…それでも米「脅威ではない」 理由を専門家が解説

[ 2022年4月21日 20:40 ]

東京・六本木のテレビ朝日社屋
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 外交や安全保障に詳しい明海大学の小谷哲男教授が21日、テレビ朝日系「スーパーJチャンネル」(月~金曜後4・45)に生出演し、ロシアによる新型ミサイル実験とその脅威について解説した。

 ロシア国防省は20日、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の発射実験を行い、成功したことを発表した。同ミサイルは1万8000キロもの射程を誇り、ほぼ全世界をカバーする能力があるとされ、時速2万4500キロの速度から、迎撃ができない最強ミサイルともされている。このミサイルには10~15個の核弾頭が搭載できるとされ、小谷氏は「たとえばアメリカだとテキサス州全体、ヨーロッパだとフランス全体を1度に壊滅できるだけの核弾頭を放出することができます」と、例を挙げて説明。それを聞いた小松靖アナウンサーは、口を大きく開けて驚いた。

 新型ミサイルについて、米国防省は「実験がアメリカや同盟国の脅威になるとはみなしていない」と強気の姿勢を見せている。小谷氏は「アメリカのミサイル防衛は、ロシアからのミサイルを撃ち落とすことはまったく考えていません。北朝鮮からの限定的なミサイルを撃ち落とすというために作られています」と解説した。

 小谷氏がポイントに挙げたのは、核抑止の観点だった。対立する2カ国が、お互いに核兵器を持ちながら牽制し合うことで、結果的には核の使用をお互い回避するという考え方。小谷氏は「ロシアから飛んでくる核ミサイルに対しては、アメリカも核ミサイルをロシアに撃って、ロシアを壊滅させるということでこれを防ぐという核抑止を貫いてきました」とし、「この新しいICBMができたからといって、アメリカの核抑止体制が揺らぐことは一切ありません」と断言した。

 ロシアが実験を行った意図について、小谷氏は「おそらくは西側がかけている経済制裁への不満、ウクライナに対する軍事支援への不満がある」と推測。「西側諸国でロシアへの圧力をやめるべきだという世論が高まらなければ、このミサイルに関しては我々もそんなに恐れる必要はありませんし、ウクライナへの支援はやっていくべきだと思います」と指摘した。

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2022年4月21日のニュース