ウィル・スミスが壇上でビンタ 妻を侮辱したプレゼンターにマジ切れ スピーチで涙流し謝罪

[ 2022年3月29日 05:30 ]

第94回アカデミー賞授賞式

米アカデミー賞の授賞式でクリス・ロック(左)を殴るウィル・スミス(ロイター)

 アカデミー賞授賞式で米俳優のウィル・スミス(53)が、米コメディアンのクリス・ロック(57)の顔を平手打ちする一幕があった。現地では、中継していたABCテレビの音声が一時途切れるなど、アカデミー賞史上で前代未聞の騒ぎとなった。

 原因は、妻で米女優のジェイダ・ピンケット・スミス(50)が侮辱されたこと。長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターを務めていたロックは壇上で、ジェイダに対し「次は『G.I.ジェーン』の続編を楽しみにしているよ」と、短い髪形をからかうようなジョークを飛ばした。「G.I.ジェーン」は丸刈りの女性兵士を描いた97年公開の米映画。すると、客席にいたスミスが突然、ステージに上がってロックの元に向かい、頬を強く平手打ちした。マイクもその鈍い音を拾っていた。

 米メディアによると、ジェイダは脱毛症に悩まされ、昨夏ごろから短髪にしている。ロックの発言後、表情を険しくする様子が映し出されていた。

 ハプニングが起きた当初は演出かと受け止められ、会場は盛り上がったままで、ロックは殴打された直後も「ワオ!ウィル・スミスにやられちゃったよ」と取り繕い、笑いに包んだ。しかし、客席に戻ったスミスが「妻の名前を口にするな」と、放送禁止用語を交えて怒鳴ると一変。会場が静まり返る中で、ロックは「もうしないよ」と応じ、一拍置いて「これはテレビ史上最高の夜になっちゃったな」と皮肉めいて漏らした。

 その後、スミスは「ドリームプラン」で主演男優賞を受賞した。スピーチでは涙を流し「アカデミーに謝罪したい。ノミネートされた全ての仲間にも謝りたい」と猛省。一方で、同作で演じた米テニス選手のウィリアムズ姉妹の父親について「家族を強く守った人だった」と、自身の行動に重ね合わせるように話した。

 主催団体のアカデミーは「いかなる暴力も許さない」としている。ロックは米メディアに対し、被害届を提出しないことを明らかにした。ツイッターでは「ウィル・スミス」がトレンド上位に入り、言動に対して賛否の声が寄せられた。

 【過去のハプニング】◇受賞作発表間違い(2017年) 作品賞の発表でプレゼンターが、本来の受賞作である「ムーンライト」ではなく「ラ・ラ・ランド」と発表。読み上げる作品の名前が入った封筒を手渡す際に、誤って主演女優賞のものを手渡したため。スタッフや関係者らはすでに受賞の喜びのスピーチを始めていた。

 ◇司会者が下着姿で登壇(15年) 司会のニール・パトリック・ハリスがパンツ一丁で登壇。最多受賞を果たした「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の作中で主人公がパンツ一丁になることにちなんだもので、会場の爆笑を誘った。

 ◇壇上で濃厚キス(03年) 「戦場のピアニスト」で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディは、プレゼンターの女優ハル・ベリーを抱き寄せて濃厚キス。ハルは突然の出来事に混乱の表情を浮かべた。

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