「鎌倉殿の13人」黒義経にネット震撼 唆された義円・成河「喜びの中で盲信」「叔父上ひどいね(笑)」

[ 2022年3月21日 11:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第11話。平家討伐に向かう義円(成河)を見送り、源頼朝宛の義円の手紙を預かる源義経(菅田将暉・右)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は20日、第11話が放送され、源頼朝(大泉洋)の元に駆けつけたばかりの異母弟・義円(ぎえん)が「墨俣川(すのまたがわ)の戦い」(1181年、治承5年)で討ち死にした。舞台を中心に活躍し、大河初出演となった成河(そんは、40)実質1話のみの登場ながら強烈なインパクトを残した。兄・義円を唆(そそのか)し、従来のヒーロー像を覆す源義経(菅田将暉)の“ブラックぶり”がSNS上で反響を呼んだ。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 成河は大学時代に演劇を始め、北区つかこうへい劇団10期生。11年には第18回(10年度)読売演劇大賞・優秀男優賞(「BLUE/ORANGE」および「春琴」の演技により)を受賞。昨年21年も「イリュージョニスト」「子午線の祀り」「スリル・ミー」「森 フォレ」「検察側の証人」「ローマ帝国の三島由紀夫(リーディング公演)」と舞台に立ち続けた。

 今回演じる義円は、頼朝の異母弟にして義経の同母兄。父・義朝が敗れた「平治の乱」(1160年)後に近江・園城寺へ入るが、兄の挙兵を聞き、京から駆けつけた。弓矢の名手にして、和歌にも通じる。前回第10話(3月13日)のラスト、頼朝と北条義時(小栗)の前に突如姿を現し、初登場を果たした。

 そして第11話は「許されざる嘘」。頼朝の新たな御所が鎌倉に完成。坂東武者に平家の旧領を恩賞として与えるなど着々と体制が整えられ、義時も慌ただしい日々を送っていた。そんな中、平家討伐を焦る義経は集った兄たちの前で…という展開。

 年が明け、1181年(治承5年)2月。平清盛(松平健)は「頼朝を殺せ」と言い残し、64年の生涯を閉じた。世が動くと、頼朝の叔父・源行家(杉本哲太)が現れ、頼朝の弟たちを懐柔して平家討伐を画策。誰も誘いに応じない中、義円だけは京で行家の世話になった恩義があり「申し訳ないことをしてしまった」と心苦しい。

 義経は頼朝や北条政子(小池栄子)、御家人からも評判のいい義円が目障りだった。

 義経「行けばいいじゃないですか」

 義円「しかし私は兄上の元で…」

 義経「ここにいるよりはいいと思いますよ。勘違いしてるかもしれないけど、鎌倉殿はあなたのことを、それほど買ってないから。うん、やっぱり遅れてきたのがよくなかった。平泉にいた私よりも遅いんだから。たちが悪い。それに、御台所の前で和歌を詠んだでしょ」

 義円「いけなかったか」

 義経「ひけらかすのって、鎌倉殿は一番お嫌いだから。能ある鷹は何とやら」

 義円「どうすれば」

 義経「鎌倉殿に認めてほしいんだったら、十郎叔父に従って西へ行き、手柄を立てる。それしか、ない。朝一番で叔父上と出立しなさいよ。みんなには私の方から、うまく話しておくから」

 義円「その前に一度お会いしたい」

 義経「鎌倉殿と?どうしてそういう考えになるかなぁ?言い訳とか、本当、あの方はお嫌いなのに」

 義円「では、文を書く」

 義経「それはいいと思います。私が渡して差し上げますよ」

 義円「話を聞いてくれて、助かった」

 義経「兄弟なんだから当たり前。助け合っていきましょう」

 義経は言葉巧みに義円を焚きつけた。翌早朝、義円は行家と出発。見送った義経は、義円から預かった頼朝宛の文を破り捨てた。

 尾張・美濃国境付近の墨俣川。行家軍は平家軍に大敗。義円も討ち取られた。

 SNS上には「黒義経と白義円…コントラストがエグい」「アサシン善児、腹黒義経…怖すぎました」「こんな黒義経は初めて見ました。こりゃまた大胆な脚本で」「ブラック義経の本領発揮…僧侶を陥れるとか…やってることは悪どすぎるんだけど、鎌倉殿に怒られてる時の顔がイタズラっ子レベルで許してあけたくなる」「本作の義経は極めてタチが悪い純真無垢。これは菅田将暉さんだからこそ血肉が宿るキャラであります」などの声が相次いだ。

 番組公式ツイッターに公開された成河の「かまコメ(撮影直前・直後の音声コメント)」(2分19秒)は以下の通り。

 ▼源頼朝の元に集まった兄弟たち「父を殺された孤独に過ごしてきた中で、それぞれが頼朝の元に集まっていく。人生を懸けたものというか、そこへの情熱というのは、現代では考えられないようなものなんだろうなと思って、だからこそ、そこで兄弟の絆みたいなものがグッと引き寄せられていくというのがあるんじゃないかなと思いますけれどもね。なので、義円は義経に対しても、疑うことなんて端からあり得なかったでしょうし、とても感謝していたし、とても全員の兄弟を尊敬していたでしょうし、そういう心の機微みたいなものに気づけなかったなぁ…と思いますけどね(笑)」

 ▼唆す源義経「今回、台本を読ませていただいたり、菅田さんとご一緒させていただいて、時代劇ではありますけど、現代の僕からしても分かるような感情というか。名前を付けてしまうと、それは孤独からくる嫉妬なのか、承認欲求なのか、分からないですけど、凄く現代的な感覚なんだなって思ったりしましたね。今日、彼が手紙を破るところなんかも見てて。実際に義経がどうだったかというのは、色々思いを馳せますけれども。戦略にしても、戦への考え方にしても、少し人より進んだ、進み過ぎた部分ってあったじゃないですか。その感性的な部分も、もしかしたら凄く現代の人間に通ずるものがあったりしたのかな。それが孤独の中で自然と培われていったのかなというようなことを思いましたけどね」

 ▼義円の最期「短い中で色々と決断して、叔父上にウワッと言われて、義経に唆されて、その勢いのまま行ってしまったという中で、考える時間はそんなになかったんだと思いますけれども。でも、やっぱりうれしかったんだろうと思うんですよ。兄弟に囲まれて。それは義円だけじゃなく、全員がそうでしょうけど。ある種、ちょっと浮かれてしまった部分もあったり、ある種、信じすぎてしまった部分もあったり。そこは義経は1人、ずっとクールだったということだと思うので。喜びの中で盲信してしまったというところなんじゃないですかね。叔父上ひどいね、本当に(笑)」

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