最年少王将記録保持者・中村修九段「この記録もいつか抜かされることになる」 王将戦記念誌寄稿コラム

[ 2022年2月12日 05:30 ]

第71期ALSOK杯王将戦第4局第1日 ( 2022年2月11日    東京都立川市・SORANO HOTEL )

<王将戦第4局第1日>封じ手を立会人の中村九段に手渡す藤井竜王。左奥は渡辺王将(撮影・西尾 大助、会津 智海)
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 第71期ALSOK杯王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社ほか主催)第4局立川対局では、第35・36期王将の中村修九段(59)が立会人を務めている。1986年に行われた第35期は、名人を含む3冠を保持していた中原誠王将(当時)を、さっそう若武者、六段の中村が4勝2敗で奪取。23歳・六段の王将位獲得は今も破られていない最年少記録である。

 記録保持者である中村九段が昨年、第70期に発行された記念誌「王将戦70年のあゆみ」(2021年1月発行)に寄せた特別コラムを紹介する。

 「王将戦70周年」スポーツニッポン様、毎日新聞様おめでとうございます。そして長きにわたり将棋連盟を支えて下さりまして本当にありがとうございます。そして、これからもどうぞよろしくお願い致します。

 ところで、最近では「勝者の罰ゲーム」などと言われている対局翌日写真ですが、対局の時には決してやらない「勝者のガッツポーズ」のようなものですし、ファンの方からの期待も大きいのでどんどんやって頂きたいと思います。

 さて今回、私も一応「王将経験者」として(コラム寄稿に)参加させて頂いております。但し、私自身「王将」以外のタイトルには縁がありませんでした。それでも胸を張りたいところではあります。しかし、過去の王将経験者の皆様を見ますと沢山のタイトルを経験されたかたばかり。偉大なる先輩方、そして優秀な後輩たちに囲まれてかなり肩身が狭いですね。

 それでも無理に自慢をさせてもらえば、私のタイトル獲得が35期、36期と丁度真ん中の年なのですね。「それが?」とは言わないでください。70周年の真ん中から多くの関係者の皆さまと過ごして来たことによって、王将戦の歴史の一部になれたような気がしておりますので。

 もう一つは王将獲得最年少とのことです。実はこの記録、意識することはなく昨年初めて知ることになりました。23歳位でしたので、他のタイトル戦の最年少と比べると決して早い方ではありません。それで35年も破られていないというのは奇跡としか思えません。とは言え、この記録もいつか抜かされることになるのでしょう。それが瀬戸の若武者になるのか、あるいはこれから上がってくる人になるかは分かりませんが、その時のために準備をしたいと思います。しっかりとしたコメントを出せるように考えておかなければ。そして“封じ手”として机の奥にそっとしまっておきましょう。(了)

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2022年2月12日のニュース