藤井竜王、恒例コスプレは松尾芭蕉!王将戦3連勝から一夜明け撮影会 「奥の細道」5冠へ続く!?

[ 2022年2月1日 05:30 ]

スポニチ考案の文を書く藤井竜王
Photo By スポニチ

 氷点下の冷気に身を包み、樹齢450年の杉並木を歩んだ。副立会人の戸辺誠七段(35)が「名局」と称えた、135手の熱戦から一夜明け。「あと一勝 我慢のコスプレ あと二回?」。冬季開催の7番勝負恒例「コスプレ」を季語とする、スポニチ考案の俳句を手に撮影に臨むと、「2日目はどう頑張るかという将棋。攻め合いの勝負に出たのがよかったのかなと思う」と渡辺明王将(37)=名人、棋王含む3冠=との2日間を振り返った。 動画で見る・第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局ダイジェスト

 王将戦は終局後や一夜明けの写真撮影で、当地の情報発信に貢献できればとその要望を取り込んできた。今回は芭蕉、そして与一くん。芭蕉は紀行文「奥の細道」の旅で大田原市に長期滞在、与一くんは源平屋島の合戦で扇の的を射落とした弓の名手、那須与一をモデルとする同市のゆるキャラ。

 「前例がありますから」。大田原市での7番勝負は17期連続。指し手と同様、事前研究を怠らない19歳は芭蕉のコスプレは読み切って撮影こそ順調にこなしたが「一句は、思い浮かびませんでした」と熟考の末、断念した。インテリ与一くん、ちょいワル与一くんとの3体共演は市制60周年で誕生会を開いた14年などレアケース。同市関係者も「ここ2、3年はなかった」という歓待を笑顔でこなした。

 元王将の郷田真隆九段(50)は2015年第3局で初勝利を挙げ、「那珂川が 王将戦で 銀世界」と詠んだ。当地の清流、駒の銀を盛り込んだ作句を機に攻勢に転じ、4勝3敗でリーグ参戦15期目での初挑戦を実らせた。藤井には1年後への宿題ができた。

 開幕3連勝は時折口にする「望外の結果」だろうが油断はない。「ここまでいい方向に結果が出ているが、一つ勝つことの難易度が変わるわけではないので」。2日制8時間の対局に勝つために対局中に何度、苦悶(くもん)の表情を浮かべることか。ましてや相手は渡辺だ。第4局で3期ぶりのストレート奪取を目指せる幸運をかみしめた。

 3日にはB級1組順位戦の阿久津主税八段(39)戦を迎える。現在8勝2敗の藤井は13人で2枠を争う昇級争いのトップ。藤井が勝ち、順位が上位で7勝3敗の稲葉陽八段(33)が敗れると1局を残して昇級が決まる。

 「他局のことを考えても仕方ない。自分の対局に集中したい」。谷川浩司九段(59)が持つ21歳2カ月の最年少名人へとつながる戦い。昇級すれば加藤一二三・九段(82)の18歳1カ月に次ぐ歴代2位、19歳6カ月での年少A級をかなえる。

 ≪“唐辛子撮影”スポット、市内に設置へ≫1月31日付のスポニチ本紙1面を飾った藤井の写真と同様のバックで撮れるスポットが大田原市内にできそうだ。撮影で使用した唐辛子の背景が市内に登場予定。大田原市役所のロビーや、道の駅「那須与一の郷」などが候補に挙がっており、来週にも設置される方向。記念写真の撮影に携わった坂内昭さん(70)は「特に小さい子供たちなどに楽しんでもらって、将棋を好きになるきっかけになれば」と話した。

 ≪さすが師匠!杉本八段が史上57人目600勝≫藤井の師匠・杉本昌隆八段(53)が公式戦通算600勝を達成したと1月31日、日本将棋連盟が発表した。600勝達成は57人目で将棋栄誉賞が贈られる。28日、渡辺と藤井による王将戦7番勝負勝者への挑戦権を争う、第72期1次予選1回戦で阪口悟六段(43)に勝利。報道陣から伝え聞いた藤井は同日、「それは知りませんでした」としながらも、笑顔で節目の勝利を受け止めていた。

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